池袋乗用車暴走事故 飯塚被告「車の不具合、再起動で元に戻った」【詳報・被告人質問】

2021年6月21日 15時39分
 
13:40 警察の証拠「必ずしも正確ではない」

松永拓也さん

 松永さんの質問は続く。用意した質問用紙に目を落としながら、飯塚被告をまっすぐ視線を向ける。
 警察の証拠はいずれも間違いなのか。「全部が間違いと思っていないが、必ずしも正確ではない」
 公判で、飯塚被告は、ブレーキを踏んだが、効かなかったと主張した。松永さんは「ブレーキを踏めば、油圧で物理的に制御されるはずだ。少なくとも加速はしないのではないか」と質問すると、飯塚被告は「私の記憶ではますます加速した。油圧でブレーキが作動していなかった」と答えた。
 「同時に壊れたのか」と問われると、「それは分かりません」と述べた。
 松永さんは「ブレーキ踏んだ記憶は100%自信があるのか」と尋ねると、飯塚被告は「はい」と主張。さらに無罪を主張していることを確かめられると、「心苦しいと思っていますが、私の記憶では踏み間違いはなかった。過失はない」と言い切った。
 松永さんが「本心では、主張に無理があると思っていませんか」と聞くと、飯塚被告は「冒頭にも申し上げましたが、暴走状態になった車を止められなかったことを悔やんでいる」と答えた。
 飯塚被告が事故後の入院中に、アクセルとブレーキを踏み間違えたという内容を息子に伝えていたことを聞かれると、「覚えていない」と否定。「悔やんでいるというのは、責任を感じているからか」と問われると、「責任という言葉は非常にあいまい。車に乗らずにいれば、事故が起こらなかったという意味でも悔やんでいる」と語った。
 「道義的にも法律的にも責任があると思うか」との問いには「2人を亡くならせたことについては非常に申し訳なく思っています」と答えた。
14:00 「脳の指令がうまく伝わっていない」
 時速80キロで、アクセルペダルを1秒でも目視することは不可能ではないかとの問いに、飯塚被告は「加速していたので何が原因かと思ってアクセルを見た。そういう意識ははっきりしていたので、私としては間違いないと思った」「パニックだったから見られないということはないと思います」と強調。ブレーキは「アクセルペダルを見た後にいっぱいに踏みました」と述べた。
 続いて松永さんは、被告が当時、杖を使って歩行していたことに触れ、「足全体の機能が衰えていると思わなかったのか」と尋ねた。飯塚被告は「足ではなく脳の指令がうまく伝わっていないから」と答え、「私としては(運転能力には)関係がないと思っています」と問題ないという考えを繰り返した。
 「衝突直前、莉子はあなたの車の方をみていますよね」。ドライブレコーダーの映像に関して松永さんが尋ねると、被告はしばらく沈黙し「えーと、たぶんそうだったと思います」。松永さんが「莉子はどんな気持ちだったと思いますか」と続けると、さらに沈黙の後「たぶん恐ろしかったんではないかと想像しますが…分かりません。申し訳ありません」と話した。
 刑務所に入る覚悟があるか問われ、「はい。あります」と即答した飯塚被告。松永さんは最後に「有罪になったら、控訴しますか」と尋ねた。飯塚被告は「分かりませんが、なるべくしないようにしたい」と答えた。
 はっきりとした口調で質問を続けてきた松永さんだったが、「私からの質問は以上です」と語ったときは、低く沈んだ声だった。
▶次ページ 被害者の父「人の苦しみも分からない。とても悲しいです」

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