池袋乗用車暴走事故 飯塚被告「車の不具合、再起動で元に戻った」【詳報・被告人質問】

2021年6月21日 15時39分
14:30 飯塚被告「私の家族は心配してくれている」

飯塚幸三被告

 上原さんは「無責任なことを毎回話されている。私や私のきょうだい、すべての人が夢を奪われた」と胸の内を明かし、「反省しても、私の大切な娘たちは戻ってきません。せめて自分がやった過ちを認めていただきたい」と訴えかけた。
 これまで、愛する娘と孫の写真に向かい、「今回は認めてくれるとうれしいね」と話し掛けてきたという。だが、裏切られてきたと感じている。「どうしてこんなに苦しまないといけないんですか。一生苦しみ悲しみを抱えて過ごさないといけない」。心境を打ち明けたとき、声は震えていた。飯塚被告は、じっと下を向いたままだった。
 上原さんは、被告に向かって「自分の家族のことを考えたことはあるのか」と聞いた。
 飯塚被告は「私の家族は、とても心配してくれています。亡くなった親御さんは悲しんでおられるだろう。私としては、私の車が起こした事故で家族にはるべく影響が及ばないようにしたい」と述べた。
 最後にひと言だけ、といった上原さんは「どうぞこの裁判が終わったら、もう一度、自分は悪くなかったか、反省していただきたい。心の底からごめんなさいと聞けるのを楽しみにしています」と話した。松永さんは、飯塚被告をじっとみつめていた。
 その後、被害者の代理人から質問があった。これまでの飯塚被告の主張を「車が突然暴走し、減速できなかった」と確認すると、「はい」と認めたが、「誰の責任か」と問われると、5秒ほど沈黙し、「責任はいろんな意味があるのでわかりません」と答えるに止めた。
 さらに、事故現場に慰霊碑があることを知っているかと問われると、「報道で知った」と回答。訪れたかを問われると「いいえ、外出が困難なので」と述べた。
 厳罰を求める署名があることについて、飯塚被告も把握しているといい、「重く受け止めている」と答えた。
 一方、被告の弁護人も質問。アクセルペダルを目でみたのは「原因を知りたかったから」と、車を止めようとしたと主張。免許の返納についても、「考えていた」と述べた。
14:45 記憶が間違い「たぶんそうなる」  
 最後に右陪席の裁判官が質問。ドライブレコーダーの記録と被告自身の記憶の食い違いについて、記憶の方が間違いという認識でよいか問われると、被告は「たぶんそうなるだろうと思います」と述べた。松永さんや被害者の一部と示談が成立していないことについては「保険会社に任せている」として、事情はわからないと答えた。
 15時前に被告人質問は終了。続いて、証拠採用された被害者の意見陳述書を裁判長が読み上げた。78歳男性の陳述は「裁判で過失が明らかになったにもかかわらず自分の罪を認めない飯塚被告の人間性を疑う」とし、「今からでもブレーキとアクセルを踏み間違えた事実を認めるべきです。人生の残りの時間は長くない。早く罪と向き合うべき」と訴えた。
15:00「被害者のことをもっと考えて」
 けがをした被害者の意見陳述の読み上げが続く。
 組み紐教室に通っていた被害者は、一緒にけがをした教室仲間に組み紐を続けられなくなった人もいることに触れ「生きがいの生涯の趣味を奪われた人がいることを忘れないでほしい」と飯塚被告に求めた。また、飯塚被告の法廷での発言について「ご自身のつらさを語っていますが、その前に何の落ち度もなく、突然多くのものを奪われた被害者のことをもっともっと考えて」と訴えた。
 事故当時、90歳だったという被害者は足の骨折が治りきらず、「できるならお金ではなくて、時間と健康を返してほしいというのが本当の思いです」とした。事故前は毎日のように出歩き、お茶屋を開く準備中だったが、事故のけがで階段の上り下りも難しくなり、家の周りを散歩する以外は家にこもる生活になったという。飯塚被告に対しては「どうしてそんなに自分が絶対に正しいと思えるのか、率直に理解できません。事故の結果に向き合ってほしい」と訴えた。
15:10 閉廷
 意見陳述の読み上げが終わり、裁判長が次回の日程を7月15日午後1時半から、と確認した。飯塚被告は、車いすに乗り、下を向いたまま退廷した。
 16:00 遺族会見 飯塚被告が記憶するクリスマスの写真「ない」
 松永さんら遺族が会見した。この日の法廷で、被害者の名前を問われた飯塚被告が「りこさんは難しい字なので、ちょっと書いてみることができない」と答えたことについて、松永さんは「難しいですかね?命の名前が難しいんですかね?」と憤りを隠せなかった。
 飯塚被告は、裁判証拠の中で記憶に残っている松永さん家族の写真として、お菓子を持つ莉子ちゃんが写ったクリスマスの写真を挙げていたが、「そんな写真はないんですよ」と存在を否定。「命に対する認識はあの程度のものだった」と話した。
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