約10.5億円を詐取か…テクノシステム社長を再逮捕「10億くらい数秒で」

2021年6月17日 06時00分
 太陽光発電関連会社「テクノシステム」(横浜市西区)が金融機関から融資名目で多額の資金を詐取したとされる事件で、東京地検特捜部は16日、信用組合から約10億5000万円をだまし取ったなどとして、詐欺と会社法違反(特別背任)の疑いで社長の生田尚之容疑者(47)を再逮捕した。詐取したとされる額は計約22億円となった。関係者によると否認している。
 再逮捕容疑では2020年6月、発電設備への融資名目で虚偽の書類を出すなどし、大阪府の信組から約10億5000万円を詐取。18~19年には、自社の資金計3億9400万円を海外のカジノで負った自身の借金返済に充て、会社に損害を与えたとされる。
 特捜部は16日、徳島県の地方銀行と静岡県の信用金庫から20年7月、それぞれ約7億5000万円と約4億1500万円をだまし取ったとして生田容疑者を起訴。地方銀行の事件については、ともに逮捕された専務の小林広(66)、元専務執行役員の近藤克朋(53)の両容疑者も起訴した。

◆億単位の金「数秒で集める」

 生田容疑者は、インターネットで投資を呼び掛ける融資仲介業者からも、巨額の資金を集めていた。「ソーシャルレンディング(SL)」と呼ばれる仕組みで、事件ではSLのリスクも垣間見える。
 「SLを使えば、10億円くらいは数秒で集められますよ」。生田容疑者の仕事仲間の男性は数年前、「いい事業があるので、やってみないか」と持ち掛けた際、そう返されたことを覚えている。

テクノシステムの太陽光発電設備事業への投資を呼び掛けるSBI子会社のサイト

 SLは、融資仲介業者が「太陽光発電設備事業」など案件ごとにネット上で投資家から資金を集め、事業者に貸し出す。事業者が年利10%近い高金利を負担することも珍しくないが、銀行からの借り入れのような厳格な審査はない。

◆「大きな利息魅力」だがリスクも

 テクノ社は2017年から仲介業者に、ネット金融大手「SBIホールディングス(HD)」の子会社「SBISL」を利用。20年までに融資した約383億円のうち、約129億円が別用途に使われていたことが今年4月に判明し、SBIHDはずさんな融資が行われていたとして、SBISLの廃業を決めた。
 テクノ社の案件に出資した投資家は「SLは分配される利息が大きいのが魅力。あまり吟味することなく飛び付いてしまった」と振り返る。SBIHDは投資家に元本相当額を返却するとしているが、仲介業者には本来、元本保証の義務はなく、貸し倒れリスクは投資家が負う。
 SLのトラブルに詳しい鈴木英司弁護士は「銀行から融資を受けられないためSLで資金を集めようとする業者もいる。SLでは事業内容が詳細に示されないケースも目立つ。投資家は慎重に判断してほしい」と警鐘を鳴らす。(小沢慧一、三宅千智)

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