「入管法、変えなければ」元職員が訴え…是々非々で政策論争を

2021年6月17日 06時00分
「入管難民法改正案」について話す木下洋一さん=東京都千代田区で

「入管難民法改正案」について話す木下洋一さん=東京都千代田区で

 国会が会期延長されずに16日に閉会し、外国人の収容や送還を見直す入管難民法改正案は衆院解散に伴い廃案となる公算が大きくなった。元入管職員で、入管問題について発信している市民団体「未来入管フォーラム」代表、木下洋一さん(56)は「今の入管法は変えなければいけない。仕切り直して政策論争を」と訴える。(宮本隆康)

◆焦点の当て方で「改正案も反対論も正しい」

 「現状が良いわけではなく、廃案によって元に戻っただけ。改正案には良い部分もあり『改悪』とまでは思っていなかった」と木下さんは話す。
 改正案では、難民認定申請中の送還が最大の問題点になった。送還停止のルールが見直され、原則2回までに制限された。
 木下さんは2019年まで入管に18年間勤務し、上陸審査や在留資格の審判部門などを担当した。難民申請をする外国人には、就労目的が疑われる人もいれば、「母国に送還して大丈夫なのか」と思うような人もいたという。
 このため、申請中の送還について「どんな人に焦点を当てるかによって、改正案も反対論も正しい」と考えている。

◆在留判断「ブラックボックス」

 現在の入管法では、何回でも難民申請をできる。送還逃れのためだけの申請が疑われるケースもあり、現場では問題化している。木下さんは「現状をみれば申請回数の制限は必要」と理解を示す一方、「在留を認めるかの判断が入管の裁量次第で、ブラックボックスになっている。本当の難民をどう救うかの議論も欠けている」と指摘する。
 「入管庁が審査するのなら、何度申請しても結果は同じ」。透明性を高めるため、司法などの第三者がチェックできる仕組みの導入を求める。
 現状は入管が5年ほど前から対応を厳格化し、仮放免や在留資格を認めないなどした結果、長期収容が相次ぎ、餓死や自殺、ハンストも起きている。改正案で計画された新制度「監理措置」は批判もあったが、限定的ながら非収容での就労許可も盛り込まれた。
 木下さんは「スリランカ人女性の収容中の死亡問題で、今国会では建設的な議論ができなかった。入管行政には、人権への配慮も厳しさも両方が求められる。是々非々の立場で論戦をしてほしい」と話した。

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