船橋市長選 「メディカル構想」争点急浮上 過去2回頓挫、今回も課題

2021年6月17日 07時22分

土地区画整理事業の予定地付近。東葉高速鉄道が東西に走っており、海老川(手前)が流れる=船橋市で

 二十日に投開票される船橋市長選で、海老川上流地区の土地区画整理事業に合わせ、市が進める「ふなばしメディカルタウン構想」が争点に急浮上している。この地区での区画整理計画は過去二回、頓挫。今回は昨年秋から今年五月にかけ、五十四億円もの事業費の積算漏れや、組合員の同意率が目標の90%に届かなかったことが相次いで判明した。新しいまちづくりを目指す大掛かりな開発計画だけに、市長選が今後の行方を左右することになる。(保母哲)
 船橋市の地図を広げると、ほぼ真ん中、中心市街地のすぐ北側に緑地帯が広がっていることが分かる。海老川に沿った雑草が茂る低地の湿地帯であるほか、休耕田、廃材置き場などがあり、近年は墓地も目立ってきた。東西には東葉高速鉄道が走り、南側はJR船橋駅にもほど近い。住宅開発などが進む船橋で「最後に残された広大な地区であり、宝の土地」と市幹部は評する。しかし、湿地帯であることや土地の権利関係などがネックとなり長年、開発や区画整理などは行われなかった。
 地権者は一九九〇年代から組合設立準備委員会を発足させ、区画整理を目指してきたが、二回にわたり作成された計画は破綻。三回目を打ち出したのが松戸徹市長だった。
 五年前にメディカルタウン構想を表明し、組合の事業を市がバックアップ。老朽化が進む市立医療センターを約二キロ南の区画内に移転させるとともに、東葉高速の新駅を開業させる。「健康」を掲げた新たなまちをつくるとし、一帯には健康づくり施設、保健医療系企業の誘致、住宅建設などを進めることにした。
 土地区画整理事業の総事業費は昨年九月、五十四億円の積算漏れというミスが発覚したため、約百五十八億円から約百九十二億円に上方修正。市の負担額は約十三億円増の約五十六億円となった。このほか、医療センターの移転新築の概算整備事業費が約四百三十七億円(基本計画策定時)、新駅の設置費が約五十億円−などと、メディカルタウンを実現させるには巨費を投じることになる。
 今回の市長選で、現職の松戸さん(66)=自民、立憲民主、公明推薦=は「推進」、元市議の門田正則さん(74)と元県議の丸山慎一さん(65)=共産推薦=は「中止」を掲げている。
<ふなばしメディカルタウン構想> 船橋市内を南北に流れる海老川の上流地区土地区画整理事業に合わせ、市が策定した構想。区域内に市立医療センター(現在は449床)を移転するなどで、「健康」を掲げた新しいまちづくりを進める。
 この事業では、東側を「予定区域」(約42・5ヘクタール、地権者約200人)とし、この区域に新しい医療センターや東葉高速鉄道の新駅などを設置する。当初は一体だった西側の「西部地区」でも、まちづくり計画が進んでいる。

◆3候補の主張(届け出順)

<元市議の門田正則さん> 多額の税金を使うこんな事業は中止すべきだ。医療センターの建て替えでは、入院・手術分野は現在地で、診療部門を東葉高速鉄道飯山満駅近くに移せば、鉄道も収益増になる。洪水・内水ハザードマップで浸水の恐れがある場所に、なぜ医療センターを移すのか。
<現職の松戸徹さん> この地区は現状のままだと、虫食い状態の乱雑な開発が進んでしまう。建て替えが迫られている市立医療センターは、ドクターカーの救急ステーションも抱えているだけに、市の中央部にないといけない。財政は厳しいが、今やらないと将来に禍根を残す事業だ。
<元県議の丸山慎一さん> 市の行財政改革推進プランで国民健康保険料の値上げなど、市民の負担増とサービス削減が進んでいる。コロナ禍であり、中止なり凍結し、予算を市民の命と暮らしに振り向けるべきだ。洪水・内水ハザードマップの浸水想定区域であり、液状化の恐れもある。

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