「2度目の緊急事態」越える感染者数でも宣言解除 「観客入り」五輪に突き進む菅政権 

2021年6月18日 06時00分
 政府は17日、東京都など7都道府県について、新型コロナウイルス緊急事態宣言の解除と同時にまん延防止等重点措置へ切り替えることを決めた。菅義偉首相が東京五輪・パラリンピックを巡り「安全・安心な形」での開催を繰り返し強調してきたため、専門家からは宣言を延長すべきだとの声も上がった。政権はリバウンド(感染再拡大)の懸念はあっても、観客を入れての五輪開催への道を突き進んでいる。(井上峻輔、村上一樹)
 「前回の宣言解除時よりも新規感染者数が多いのに、解除に至った理由を教えてほしい」
 立憲民主党の吉川元氏が17日の衆院議院運営委員会で問うと、西村康稔経済再生担当相は「各指標はおおむねステージ3(感染急増)相当だ。特に病床逼迫ひっぱくを抑えて安定してきている」と理解を求めた。
 東京の16日の新規感染者数は、前週の同じ曜日と比べ61人増の501人で、約2週間ぶりに500人を超えた。17日も前週より多い452人。前回の宣言解除を決めた3月18日の323人を大きく上回るだけでなく、明らかに下げ止まっている。

◆選択肢は重点措置のみ

 首相が「短期集中」と断言しながら、宣言発令から7週間が経過。対策の効果は十分とはいえず、長期化により国民には「コロナ疲れ」も広がる。人出は増加傾向で、酒類を提供する店も増えてきた。政権幹部は「守れないルールを続けても仕方がない」と漏らす。
 宣言の延長を避けたいが「解除して何もやらないわけにいかない」(政府高官)。政権にとって、選択肢は飲食店の時短要請などができる「重点措置」への移行しかなかったようだが、自民党幹部は「感染者数が落ち切らない東京が心配だ」と懸念する。

◆「五輪ありき」の日程

 一方、政府は「五輪ありき」で布石を打っている。
 16日、重点措置解除後の大規模イベントの観客制限として、会場収容人数の50%以内なら上限を10000人とする新たな基準を打ち出した。専門家らによる政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は了承に当たり、五輪の観客とは無関係とくぎを刺したが、首相は17日の記者会見で観客入りでの開催に言及した。
 今回の重点措置の期限は7月11日までの3週間。23日に開幕する五輪の12日前だ。それまで「切り札」と位置づけるワクチン接種を加速させ、感染を抑え込んで重点措置を解除し、観客を入れて五輪を迎える―。そんな政府の青写真が透けて見える。

◆専門家から不安

 しかし、3月に宣言を解除した際にはリバウンドを招き、半月余りで重点措置を適用。それでも効果はなく、宣言の再発令を余儀なくされた。今回は宣言から重点措置に移行と順序は逆だが、専門家からは「これで良いのかどうか、みんな不安を持っている」(基本的対処方針分科会メンバーの釜萢かまやち敏・日本医師会常任理事)との声が上がる。
 西村氏は17日の議運委で、五輪開催中に宣言を再発令する可能性に関し、必要であれば機動的に出すと強調した。宣言に至った場合に五輪中止を求めるかについては直接答えず「最終的な権限はIOC(国際オリンピック委員会)にある」とかわした。

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