「必要だと分かっていたが…」木造階段の防腐措置をせず 施工会社会長が不備裏付ける証言<八王子階段崩落>

2021年6月18日 06時00分
 東京都八王子市のアパート外階段が崩落し、住民の女性が転落死した事故で、施工会社会長の男性(73)が、警視庁の事情聴取に「必要だと分かっていたが、木造の階段踊り場の防腐措置をしていなかった」と話していることが捜査関係者への取材で分かった。建築基準法は木造の外階段を原則禁止し「有効な防腐措置」を施工条件としている。警視庁は踊り場の腐食が原因とみており、会長が違法性を認識しながら防腐措置を怠ったとみて業務上過失致死容疑で調べている。

◆設計は鉄製階段→届なしで木造に変更

 事故は4月17日、建築会社「則武地所」(相模原市、破産手続き中)が施工した築8年のアパートで起きた。3階に住む無職大手里美さん(58)が階段を上っていた際、1階と2階の間にある木造踊り場の腐食が原因で2階につながる鉄製階段が崩落し、大手さんは約2メートル落下。頭を打ち5日後に死亡した。
 アパートの建築計画概要書などによると、建物は木造3階建て延べ300平方メートル。建築主は個人で、設計担当の建築事務所(横浜市)が2012年11月、民間機関に建築確認を申請。則武地所が施工し13年10月に完了検査を受けた。
 建築確認申請時には踊り場のない鉄製階段の設計だったが、その後、折り返し階段に変更され、踊り場が木造にされた。建築基準法が義務付けている設計変更届は出ていなかった。

◆元社員「会長に訴えたが聞き入れられなかった」

 同社は08年ごろ、踊り場を木造にするハイブリッド型の工法を始めた。会長は事情聴取に対し「踊り場まで全て鉄製の階段は外注費が高く、自社では階段の曲がり部分の溶接技術が足りなかった」と理由を説明。同社の元社員は事情聴取に「木造の外階段に防腐措置を施す必要性を会長に訴えたが聞き入れられなかった」と答えているという。
 国土交通省によると、10年4月以降に完成した同社関連の共同住宅のうち、東京、神奈川の6棟の踊り場に腐食が見つかった。その他の約200棟は崩落の危険性はないが、設計士による調査や改修計画書の提出を所有者に求めている。

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