先祖への感謝を表す卒塔婆をリサイクル 木を使う仕事の責任果たす 東京・日の出町の谷治新太郎商店<都の企業とSDGs>

2021年6月20日 05時50分
 亡くなった人を供養するため、仏教のお墓に立てられる細長い木の板「卒塔婆そとば」。生産量が国内の約7割を占める東京都日の出町で、製造販売を手がける「谷治やじ新太郎商店」は、古くなった卒塔婆をバイオマス発電の燃料や建築資材にリサイクルしている。(嶋村光希子)

卒塔婆のリサイクルについて話す谷治新太郎商店の谷治大典社長=2020年12月2日、東京都日の出町で

 「環境保護の面で、木を使う仕事に対して後ろめたさがありました」。谷治大典社長(44)は、2013年に義父から経営を引き継いだ際の思いを明かす。転機は5年前。SDGs(持続可能な開発目標)についての講演を聞き、目標12「つくる責任 つかう責任」や同13「気候変動に具体的な対策を」に共感した。目標の実現に向け、自社でできる取り組みを考えた。
 まず手掛けたのが、役目を終えた卒塔婆のリサイクル。卒塔婆には戒名などが筆文字で書かれ、3回忌といった法要や月命日などに立てる。交換の時期に決まりはなく、古くなると寺院で燃やすことが多かった。そこで3年前から、販売先の寺院から卒塔婆を回収。廃棄物処理会社に委託して卒塔婆を破砕し、燃料チップや建材ボードなどに再生している。

◆地元産スギを地産地消

 昨年からは卒塔婆の板に地元のスギを使い始めた。地元産はこれまで、通常使うドイツ産のモミより色味が悪く敬遠されてきた。木材を「地産地消」し、山の手入れや、輸送ルート短縮による二酸化炭素(CO2)削減につなげたい考えだ。
 卒塔婆の販売先は浄土真宗を除く寺院だが、核家族化で「寺離れ」が進んでいる。業界全体の売り上げは徐々に落ちているという。厳しい経営環境でもSDGsに挑む理由を、谷治社長はこう話す。「卒塔婆はご先祖様に感謝を表す手紙。先人が大切にしてきた限りある資源を守るため、できることから取り組みたい」

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