縄文の大集落 暮らし浮かぶ 船橋・取掛西貝塚、国史跡指定へ イノシシの骨なども出土

2021年6月19日 07時14分

台地にある取掛西貝塚。現在は農地などになっている。左上に延びるのは東葉高速鉄道=船橋市で(いずれも市教委提供)

 船橋市のほぼ中央部、飯山満(はさま)町から米ケ崎町の台地にある「取掛(とりかけ)西貝塚」が、国史跡に指定される見通しになった。十八日に国の文化審議会が答申した。縄文時代早期前葉(約一万年前)の竪穴住居跡五十八軒が出土しており、当時は関東地方で最大規模の集落を形成していた。貝塚からは縄文人が動植物や魚類など多彩な食べ物を採取したことが分かっており、市教育委員会は「当時の暮らしぶりが分かる、全国的にも貴重な遺跡」と話している。(保母哲)
 取掛西貝塚の面積は約七万六千平方メートル(東京ドームの約一・六倍)。このうち今回、国史跡となるのは約三万九千平方メートル。市教委は一九九九年以来、八次にわたる発掘などの調査を行ってきた。
 これまでに出土した竪穴住居跡は、五十八軒のほかに縄文前期前半(約六千年前)の十八軒など。一万年前と六千年前の住居跡が見つかった、珍しい遺跡でもある。貝塚からはヤマトシジミのほか、イノシシやシカの骨、クロダイやボラ、スズキといった魚類、キジやカモの骨、木の実などが発見されている。

(右)竪穴住居跡の貝塚から見つかった動物の骨。国内最古の「動物儀礼跡」とみられ、イノシシやシカの骨が並んでいた

 海にほど近く、海抜約二十五メートルの台地だったことから、動植物も豊富で過ごしやすい環境だったという。イノシシなどの骨が並んだ状態で見つかり、国内最古の「動物儀礼跡」とみられる遺物も出土。土器や石器、ツノガイで作られたビーズといったアクセサリーも多く見つかっている。このため、当時の暮らしぶりがうかがわれる遺跡として知られるようになった。
 今回の答申で船橋では初の国史跡に指定される見込みとなり、市教委の松本文化(あやか)教育長は「取掛西貝塚は人と海の関わりのルーツとなる遺跡であり、『ふるさと船橋』の原点」とコメント。市は本年度中に保存活用計画の策定に着手し、専門家の意見を聞きながら二〇二三年度に取りまとめることにしている。
 この指定で県内の国史跡は計三十一件(特別史跡含む)、うち貝塚は十三件となる。貝塚の史跡指定は全国で七十三件となり、千葉県が最も多い。

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