避難長期化で孤独や喪失感、年々深く…「追い込まれる前になんとか話を」<福島いのちの電話>

2021年6月19日 14時00分

3月11日も原発事故や震災関係の相談が入った。電話を受ける相談員=福島県福島市で(福島いのちの電話提供)

 東日本大震災と原発事故から10年となった3月11日、福島市内の福島いのちの電話センターに、福島県内外から43件の相談があった。例年、この日には、多くの相談が寄せられる。

◆10年たっても立ち上がれないやるせなさ

 「震災後、体調が悪化し、現在はうつがひどい。自殺するのでないかと、自分でも不安」(60代女性)「10年前、小学生で遭った震災が怖くて今日は学校を休んだ」(10代男性)
 相談内容をまとめた福島いのちの電話の五十嵐千恵さん(70)は「年月がたつにつれ、今も立ち上がれない苦しさや、やるせなさなど、心の問題が深くなっている」と説明する。
 原発事故の特徴は避難の長期化だ。帰郷をあきらめた人も多い。「他県に避難し、うつと対人恐怖症に。福島弁が聞きたくて電話した」(30代女性)、「避難者への風当たりが強く、針のむしろ。家族も不仲で職も失い、いっそ死んでしまいたい」(40代男性)などと、苦境を打ち明ける相談が目立つという。

◆復興が強調されるほど、不安を口にできない

 復興が強調されるほど、不安を口にできなくなっている人もいる。「原発事故の悩みをどこに相談しても否定される。孤立し、自己嫌悪に陥っている」(60代男性)
 福島いのちの電話の玄永げんえい牧子副理事長(84)は「事故直後は人とのつながりを感じるなど前向きな声もあったが、時間がたち、『不安だ』とか『苦しい』と言えないなど、誰にも相談できない人が増えている」と話す。

◆震災関連自殺者のほぼ半数が福島

 自殺対策白書によると、震災に関連する自殺者は20年までに240人。福島県は118人とほぼ半数を占める。
 福島いのちの電話は17年、フリーダイヤルを設置。電話がつながらないことを防ぐため、2年前から予約制に。昨年からは予約を受け、相談員から折り返し電話するように変えた。
 三瓶さんぺい弘次事務局長(69)は「電話をする気力もない人もいる。こちらから電話をかけることで『覚えていてくれた』と喜ばれる。忘れられるのは一番つらい。自殺に追い込まれる前になんとか話を聞くことができたら」と話した。

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