指先からふらつき抑制 横浜国立大の研究グループが小型機器「ステイブル」開発

2021年6月20日 07時23分

ステイブルの説明をする島准教授(右)と神谷さん=横浜市保土ケ谷区で

 横浜国立大の島圭介准教授の研究グループは、指に装着すると、立っている際などのふらつきを抑える効果がある小型機器「ステイブル」を開発した。今月、島准教授を最高経営責任者(CEO)として株式会社「アントラクト」も設立。今後、転倒が大事故につながりやすい工場などの現場や、介護施設などへの導入を働き掛ける。(志村彰太)
 ステイブルは、指が物体に少しでも触れていると、姿勢が安定する効果「ライトタッチ現象」を再現する装置。指先に着けるセンサーと腕時計型の制御装置からなる。
 島准教授によると、この現象が起こる理由は不明なものの、物が触れることで自分の体の位置関係を感じ取り、バランスを取るのに役立つとみられるという。
 島准教授と県立広島大学の島谷康司教授らは二〇一一年、ライトタッチ現象を「指先への振動」でも再現できることを発見。装置の開発に着手し、改良を重ねてきた。ステイブルを身に着けて腕を振るなどして指が動くと、振動が指先で発生し、振動がないときに比べて姿勢が安定するという。転倒を完全に防ぐ効果はないが、島准教授は「着けているだけでふらつきが抑えられる」と話す。
 装置が振動しているときと、そうでないときの「ふらつき具合の差」を計測することで、どの程度転倒しやすいかを数値化した指標「立位年齢」も開発。島准教授は「転倒による骨折などで要介護に至る人は多い。転倒リスクを客観的に測る方法はこれまでになかった」と意義を語る。指標で自らの転倒リスクが分かるため、トレーニングをして、バランス感覚の改善につながると見込んでいる。

指先を振動させる装置「ステイブル」

 また、アントラクトの神谷昭勝・最高執行責任者(COO)は「その日の体調や服薬状況によって、立位年齢は大きく異なる」と話す。このため、高所など転倒が大けがにつながる業務を担う企業に導入してもらい、転倒リスクが高い日は作業から外れるなどの労災事故予防も期待している。
 価格は本体のみで二十万円、指標の計測ソフトなども含めると計八十万円とまだ高額。「本格的な普及のためにはもっと安くしないと」と神谷さん。島准教授は「最終的には、転倒しない社会をつくっていきたい」と話した。

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