「つりしのぶ」出荷最盛期 軒下につる、涼呼ぶ観葉植物 江戸川区の伝統工芸品

2021年6月21日 07時13分

つりしのぶを手にする深野晃正さん(江戸川区提供)

 軒下などにつり下げて、夏に涼を呼ぶ伝統工芸品「つりしのぶ」。江戸川区にある都内唯一とされる専業生産者「萬(よろず)園」(松島一)で出荷最盛期を迎えている。新型コロナウイルスの影響で祭りが中止になるなどして出荷先が減り、今年の生産量は例年に比べて少ないという。
 つりしのぶは、ヤマゴケを巻き付けた竹材にシダ植物の一種、シノブの根茎をはわせた観葉植物。水を含ませると青々とした葉が茂る。江戸時代の庭師が、得意先への中元用に作ったのが始まりとされる。区によると、昭和三十年代ごろまでは区内に二十軒ほどの生産者が存在したが、植物の生息地減少などでその数は減っていった。
 萬園のつりしのぶは、芯の部分を「井」の字に組んだ「イゲタ」や、杉の葉を束ねて球状にした「しのぶ玉 酒林(さかばやし)」など約二十種類。価格は三千円〜数万円で、インテリア用など幅広い用途があるという。百貨店の催事や直販、ネットショップ「えどコレ!」などで販売している。
 一九三五年から続く萬園の二代目で、区指定無形文化財の深野晃正(てるまさ)さん(80)は「程よく成長して出来には満足。育て方は簡単で、自然な涼を感じられる。家庭でも飾ってほしい」と話している。直販希望者は萬園=電03(3651)3465=へ事前連絡が必要。(井上幸一)

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