東京空襲の祈念館計画凍結から22年 戦争体験者ら「一刻も早く建設を」 各党・会派にアンケート

2021年6月21日 12時00分
 東京空襲の資料を展示し、犠牲者を追悼する「東京都平和祈念館(仮称)」の建設を求める戦争体験者たちが、25日告示の東京都議選を前に、平和祈念館建設についての考えを都議会の各政党・会派に聞くアンケートを実施した。展示内容を巡る都議会の対立で計画が凍結されて22年。高齢化した体験者らは「議論を始めて」「一刻も早く建設を」と訴える。 (安藤淳)
 平和祈念館の「建設をすすめる会」による都議選前のアンケートは、2013、17年に続き3回目。今回は6党派・会派から回答があった。祈念館建設に「尽力する」と答えたのは、立憲民主党、共産党、東京・生活者ネットワーク、新社会党。都議会会派の東京みらいは「資料の共有や閲覧を早期に取り組む」とした。自民党は「都議会の付帯決議が前提で、尊重すべきだ」と回答。地域政党の都民ファーストの会と、公明党などは未回答だった。
 祈念館建設を巡っては、1992年から有識者や都議会各会派による議論が始まり、98、99年には都が都議会に建設予算案を提出した。しかし、議会は日本の加害の歴史などの展示内容や歴史認識を巡って紛糾。建設予算案は可決されたが、都財政が悪化していた時期でもあり、99年の「都議会の合意を得た上で実施する」という付帯決議などにより執行されず、計画凍結が22年続いている。

平和祈念館の建設を求める柴田桂馬さん=東京都豊島区で

 都は97年から、祈念館での展示を前提に、防空ずきんや焼け焦げた万年筆など都民が寄贈した資料や空襲体験者330人分の証言ビデオなど計約5000点の寄贈を受けた。しかし、計画凍結により都庭園美術館(港区)の倉庫に保管されたままとなっている。都も付帯決議を尊重する方針を変えていない。

◆「自然消滅する方向に向かっている」

 小池百合子知事が特別顧問を務める都民ファーストなどが無回答だったことについて「すすめる会」世話人の柴田桂馬さん(91)は「国際的にも規模の大きい民間人を狙った空襲被害を受けた首都・東京の都政や議会をつかさどる政党の関心が自然消滅する方向に向かっている。極めて残念」と批判、都議会の一層の努力を求めた。
 「多大な戦禍を被った広島、長崎、沖縄では公的施設があるが、東京には民間しかない」と柴田さん。経験者の高齢化が進み、焦燥感が強まる中、祈念館建設の悲願実現に向けて働き掛けを強める。

 ▽自治体の平和施設 被爆地の広島、長崎市や沖縄県は追悼施設や公園と一体化した資料館を運営。大阪府・市や川崎、兵庫県姫路市も空襲被害を伝える施設を建設している。東京では平和祈念館計画の凍結後、募金で「東京大空襲・戦災資料センター」(江東区)が造られ、市民の手で運営されている。

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