国民の命を危険にさらしてまでなぜ…五輪「観客1万人開催」<政治部長評論>

2021年6月21日 21時31分
 国民の命と健康に責任を持つ政府が、明確な開催基準や感染リスクの評価を示さないまま、観客を入れて東京五輪・パラリンピックを開催することを決めた。国民が納得できる説明はなく、見過ごすことはできない。
 本紙は菅義偉首相の記者会見で、新型コロナウイルスの感染状況がどの程度なら開催するという基準や、感染リスクを明示するよう再三求めてきたが、首相は安全・安心な大会を実現すると繰り返すだけだった。国民の命が危険にさらされる可能性が専門家から指摘される状況でなぜやるのか、国民に明らかにせずに決めた経緯は疑問だ。
 観客の扱いについても疑念が募る。専門家は、開催するとしても無観客が望ましいと訴えているのに、政府を含む5者協議は上限1万人とすることを決定。首相は21日、緊急事態宣言が必要になれば無観客に切り替えることも十分あると記者団に強調したが、緊急事態宣言が出ても五輪への影響はないと以前発言したことを考えると、どこまで信じていいのだろうか。
 さらに、開会式では、大会関係者は別枠として入場を認める方向という。なぜ大会関係者を優遇するのか。さらに人を増やして感染リスクは高まらないのか。首相が説明しなければいけないことは増える一方だ。
 五輪開催まで約1カ月。首相が数々の疑問に答えられず、安全・安心に開催できる根拠を示せなければ、開催という判断自体の是非が問われてくる。(政治部長・高山晶一)

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