<五輪リスク>調査、通訳、食事の配慮など 選手の感染、県が対応苦慮 知事「保健所の負担が過大に」

2021年6月22日 06時58分

五輪選手らが新型コロナに感染した際の対応を議論する協議会の設置を組織委の橋本聖子会長(右)に求める黒岩知事=東京都中央区で(県提供、5月撮影)

 東京五輪開会まで一カ月余りと迫る中、五輪やパラリンピックの選手らが新型コロナウイルスに感染した際の対応に、県が頭を抱えている。感染者の行動歴を調べる「積極的疫学調査」で濃厚接触者に認定された選手は、出場が危ぶまれる場合もあり、責任は重大。六月に入り、大会組織委員会などと課題を議論する協議会を設けたが、解決策は見えない。(志村彰太)
 「海外から来た人の濃厚接触者などの調査も保健所がやるのか。負担が過大になる」。十一日、非公開で行われた第二回の協議会を終え、報道陣の取材に応じた黒岩祐治知事は懸念を示した。
 外国の選手らが感染した場合、行動歴の聞き取りに通訳が必要になる。軽症や無症状の人は宿泊療養施設に入ってもらうが、宗教上の理由で特定の食材を食べられなければ食事に配慮が必要となることもあり、知事は選手らに特化した「専門の宿泊療養施設」を設ける考えを示した。
 県が「プレッシャーが大きい」と漏らすのは、濃厚接触者の認定だ。大会参加者向けの新型コロナ対策をまとめた規則集「公式プレーブック」には、濃厚接触者かどうか判断するのは「保健当局」と記載されている。組織委は取材に「その地域の保健所が濃厚接触者を認定する」と答えた。
 プレーブックによると、濃厚接触者と判断された選手が競技に参加するには「毎日のPCR検査が陰性」「他者との接触を最小限にすること」など、一定の制限がかかる。選手やチームの成績を左右しかねず、ある県幹部は「積極的疫学調査の手を緩めるかもしれない」と、特別扱いせざるを得ない可能性を示唆する。
 十一日の協議会では「有名選手や要人が感染した場合、病院の警備はどうするのか」「新型コロナの治療薬は、ドーピング検査に影響しないのか」などの質問が出たという。組織委は「保健所や県に全面的に責任を押しつけることはない。組織委も連携する」とするが、結論は出ていない。
 次回の協議会は二十二日だが、県の担当者は「結論を得られるか分からない」と話している。

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