助けて「ど冷えもん」 コロナ苦境の飲食店に秘密道具 冷凍自販機、ステーキもイクラも

2021年6月22日 07時04分

中野区のラジュール東京。「ど冷えもん」で1番人気は牛サーロインステーキ弁当

 コロナ禍で大きな打撃を受けている飲食店。休業や閉店している店も多い。そんな飲食店の店頭に増えているのが、冷凍自販機「ど冷(ひ)えもん」。ラーメンやギョーザからステーキ、イクラを販売。二十四時間販売可能で、苦境の飲食店の救世主となりつつある。
 中野区のロケ弁当やケータリング専門店「ラジュール東京」。五月中旬からど冷えもんを設置し、「牛サーロインステーキ」(八百円)や「チキン南蛮タルタルソース」(六百円)など四種類の弁当が並ぶ。
 「予想以上の人気」と話すのは同店の営業担当の渡辺アツさん(73)。
 映画やドラマのロケやイベントの業務用弁当を手がける同店は毎月、約四百万円の売り上げがあった。コロナ禍によるイベント中止で、売り上げはほぼ半分に落ち込んだ。
 少しでも売り上げを増やそうと、冷凍した弁当の通信販売を考えていた時、ど冷えもんの存在を知った。
 弁当は電子レンジで解凍すれば、自宅で出来たての味が楽しめる。
 多い日には五十個ほど売れ、夜中にサーロインステーキやローストビーフを買っていく人もいる。
 「これからは通販にも力を入れたいので、どんな商品が人気があるのか、ど冷えもんで知ることができる」と、渡辺さんは手応えを感じている。
 同店は今後、弁当の種類や台数を増やすことも検討している。

築地場外市場「北海番屋」の「ど冷えもん」は、イクラや魚の切り身などを販売

 築地場外市場にある海鮮丼が人気の居酒屋「北海番屋」は、「北海道産いくら醤油(しょうゆ)漬け」(二百五十グラム、三千五百円)や銀ダラやサワラ、紅さけがセットになった「自家製漬焼魚セット」(千円)など魚介の冷凍商品五種類を販売している。保冷材セットも販売し、長時間の持ち帰りにも対応した。
 今月初旬に設置したばかりで、通行人からは「食券機なの?」と勘違いされることもある。
 ど冷えもんの導入を提案した自販機管理業「Food&Meal」(品川区)の唐沢順代表(40)は「築地場外の飲食店が元気を取り戻すきっかけになれば」と話す。
 ど冷えもんを開発したのは自販機メーカー大手の「サンデン・リテールシステム」(本社・墨田区)。
 従来の冷凍自販機はアイスクリームなど容器の大きさが一定のものにしか対応していなかった。以前からど冷えもんの開発を進めていたが、コロナ禍で飲食店から「店頭で販売できないか」との声を聞き、本格的な開発に着手した。
 さまざまな大きさの容器に対応できるマルチストック方式を採用し、一台で最大十一種類、三百二個の商品を販売できる。
 ど冷えもんのネーミングは、「すごく冷える」という意味で、「ドラえもん」を意識したわけではないという。
 今年二月に都内のギョーザ専門店で設置したのを皮切りに、北海道や沖縄から注文と問い合わせが殺到している。商品もギョーザやエビフライ、パスタ、パンケーキなど多岐にわたる。
 同社広報の芳賀日登美室長は「営業時間外や休日も買える利便性と非対面、非接触で衛生面も安心感がある」と説明する。
 冷凍販売で食品ロスを減らせることも時代の流れにマッチした。
 芳賀さんは「コロナ禍で自販機にも多様性が求められている」と話す。
 文・砂上麻子/写真・池田まみ、市川和宏
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