待ち時間「駅カラ」で 常総線下館駅と下妻駅 全国初 コロナ対策も万全

2021年6月22日 07時22分

下館駅のコンコースの一角に設置された「駅カラ」=筑西市で

 駅の待ち時間に「駅カラ」で1曲−。関東鉄道常総線の下館駅(筑西市)と下妻駅(下妻市)構内に小型カラオケボックスが登場した。関東鉄道によれば、鉄道駅舎内のカラオケボックスは全国初。新型コロナウイルス禍でカラオケは敬遠されがちだが、駅カラでは感染防止対策を徹底。コロナ禍で乗客が落ち込む中、運行本数の少ないローカル駅の新しい楽しみ方として注目される。(出来田敬司)
 駅カラは四月末、下館駅の南口コンコースと下妻駅の待合所に設置された。見た目は、懐かしの電話ボックス風。大手エンターテインメント会社「第一興商」が「カラオケをいつでもどこでも簡単に」をコンセプトに開発した「COCOKARA(ココカラ)」を採用している。
 利用時間は午前九時〜午後九時。ボックスの中にはマイク、ヘッドホンと二脚のいすが置かれ、モニター画面では、人気芸人やアイドル歌手が選曲を促す。機能はカラオケ店やスナックの装置と遜色なく、一曲百円で楽しめる。
 カラオケスナックなどでクラスター(感染者集団)が発生していることを考慮し、入室は二人までに制限。常時換気できる装置を取り付けたほか、備え付けの除菌シートでマイクや端末の消毒を求めている。
 関東鉄道が駅カラを導入した背景には、厳しい経営環境がある。国の緊急事態宣言が県内にも発令された昨年四〜五月、乗客は四割程度減った。沿線の高校が軒並み休校し、売り上げの多くを占める通学客が途絶えたからだ。
 JR東日本の場合、テレワーク需要を取り込もうと、都内の駅で仕事ができるスペース「シェアオフィス」を展開している。新たな誘客方法を模索していた関東鉄道も検討したが、「(人口が多い)都内とは事情が違う」と断念。そうした折、第一興商から「カラオケを置かせてほしい」との依頼が舞い込んだ。
 下館駅の場合、朝夕のラッシュ時を除けば運行本数は一時間に一〜三本。次の車両到着までの待ち時間に一、二曲歌える。
 第一興商もコロナ禍で取引先のカラオケ店や飲食店が相次いで休業に追い込まれていた。「駅カラ」第一号に関東鉄道を選んだのは「車内のつり革に(地元名物の)食品サンプルをつり下げるなど、とにかく話題づくりが上手。真っ先に提案させていただいた」(第一興商宣伝部)。
 下館駅では、高校生など若い客を中心に一日三、四組が利用しているという。第一興商は具体的な売り上げを明かしてはいないが、「予想以上にご利用いただいている」と手応えを感じ、他の鉄道会社にも売り込んでいる。茨城発の「駅カラ」が全国に広がる日も遠くない。

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