私は新型コロナワクチン受けて平気?(上)アレルギーとがん治療中の人の場合

2021年6月8日 14時23分
 政府が国民に広く接種を呼び掛けている新型コロナウイルスワクチン。二回打つのが基本だが、基礎疾患や持病がある人の中には、「大丈夫か」と迷うケースもあるだろう。初対面の医療従事者から接種を受けることになればなおさらだ。ケースごとに専門家に聞いた。(上)はアレルギーとがん治療中の人の注意点について。

◆福井大病院長・大嶋勇成さん アレルギーの人へ「成分の「PEG」に注意」

 アレルギーの原因物質には、卵や牛乳、ソバ、ハチ毒、花粉などいろいろあるが、ワクチンの成分と関係がない場合は、基本的に接種を受けて問題はない。全身にじんましんが出る、唇や皮膚が腫れる、呼吸が苦しくなるなどのアナフィラキシーを過去に起こしたことがある場合も接種は可能。アナフィラキシーは、接種後十五分以内に起きることが多く、すぐアドレナリンを注射すれば回復する。アナフィラキシーの経験がある人は接種前の問診で申告し、接種後三十分は会場に待機することが大事だ。
 ぜんそくの患者で、炎症を抑える吸入ステロイド薬を自分でやめていたり、通院していなかったり、症状のコントロール状態が悪い人は、アナフィラキシーが起きると重篤化する恐れがある。少しでもいつもと体調が違ったら、会場の問診で伝えてほしい。吸入ステロイド薬や、アレルギー性鼻炎を抑える抗ヒスタミン薬は、当日も普段通りに服用して大丈夫だ。
 唯一気を付けたいのは、化粧品や下剤などにも含まれている「ポリエチレングリコール(PEG)」やポリソルベートという成分に対して重いアレルギー反応を起こしたことのある人。日本で使われているファイザー製、モデルナ製のワクチンはいずれもPEGを含んでいるためで、米国の疾病対策センター(CDC)も接種を推奨していない。ただしPEGアレルギーのある人は非常にまれ。自分がそれに当てはまるか分からない場合を含め、別のワクチンや薬剤で重篤なアレルギー症状が出たことがある人は、接種前にかかりつけ医などに相談するなど注意してほしい。

◆愛知県がんセンター副院長・室圭さん がん治療中の人へ「治療薬と時期 見極めを」

 がんは、適切なタイミングで、適切な治療を施すことが重要だ。新型コロナに感染して手術や検査の予定が延び、治療計画が変われば、進行や再発のリスクが高まる。体を守る免疫を刺激して発症を予防するワクチンの利益は、副反応などの不利益を大きく上回る。
 国内外の報告を見ても、接種によるがん治療中の患者固有のリスクはない。ただ、薬物療法の最中には、接種を避けた方が望ましい期間がある。例えば、がん細胞の増殖を邪魔する「細胞傷害性抗腫瘍薬」の使用で白血球数が最少になっている時期だ。免疫が働きにくく、ワクチンの効果が弱まりがち。吐き気や嘔吐(おうと)を防ぐために投与当日に使うステロイドも、免疫機能を抑える働きがある。
 初めて抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを投与するときも、接種は避けた方が無難。投与したことのない薬の副作用パターンを把握する必要があるからだ。ワクチンの副反応には発熱や倦怠(けんたい)感などがあるが、治療薬でも起こり得る。体の反応がどちらの影響なのか判別しづらくなり、がんの治療効果を評価することが難しくなる。国内のワクチン供給は流動的で、接種時期を自由に選べる状況とは言いがたいが、主治医とよく相談してほしい。
 日本癌(がん)治療学会、日本癌学会、日本臨床腫瘍学会は三月、治療の種類と新型コロナのワクチン接種に関してQ&Aを作った。それぞれの学会のホームページで公開しているので、迷ったら参考にしてもらいたい。

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