津波語り「誰の命も大切に」 気仙小・元校長、県立浦和高で講演

2021年6月23日 08時02分

講演後、生徒(右)の質問に答える菅野さん=県立浦和高で

 七月に修学旅行で東日本大震災の被災地を訪ねる県立浦和高校(さいたま市浦和区)の三年生約三百五十人が、事前学習で、大きな津波被害を受けた気仙小学校(岩手県陸前高田市)の元校長、菅野祥一郎さん(70)の講演を聴いた。菅野さんは退職後に「震災の語り部」として、各地で記憶を語り継いでいる。
 講演では、津波の危険区域ではなかった気仙小で、九十人ほどの児童と近隣住民をとっさに裏山に避難させた決断や「低学年を先に」という常識を破り、六年生を先に走らせたことで低学年の児童も追いかけて走り、全員が助かったことなどを語った。
 避難後に学校を襲った津波は三階建ての校舎を越え、大きな被害を受けた。二〇一九年に再建されるまで近隣校に間借りして学校を運営したという。スライドを使いながら当時の状況を振り返った菅野さんは、生徒らに「誰の命も大切にする人間になってほしい」と呼び掛けた。
 三年生は、二年生だった昨年のうちに京都・広島方面へ修学旅行に行く予定だったが、コロナ禍で立ち消えとなり、代わりの学習として原爆被害者の久保山栄典(よしのり)さん(八潮市)を招いて話を聴いた。今年、改めて行き先を陸前高田市や、宮城県石巻市などへ変更して旅行することになり、事前学習も実施した。
 旅行委員副委員長の三年、武田大輝さん(17)は「原爆という『人災』と、震災という『天災』のそれぞれの経験者の方の貴重な講演を聴けた。人生に大きな意味を持つと思う」と話した。(前田朋子)

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