手塚治虫の世界を体感 原稿300点など集め水戸で企画展

2019年7月31日 02時00分

直筆の原稿などに見入る来場者=水戸市の県近代美術館で

 「マンガの神様」と称される手塚治虫(一九二八~八九年)の原稿約三百点や愛用の品などを集めた「生誕九十周年 手塚治虫展」(東京新聞水戸支局など後援)が水戸市の県近代美術館で開かれている。没後三十年を経てもなお、国内外で愛され続ける手塚ワールドを体感できる貴重な機会だ。八月二十五日まで。 (水谷エリナ)
 本展覧会は、二〇一七年から福岡県内二カ所を巡回し、茨城は三会場目。三部で構成され、第一部では、手塚が漫画家デビューを果たすまでの足跡をたどる。手塚は大阪府豊中市で生まれ、五歳の時に引っ越した兵庫県宝塚市で約二十年間過ごした。両親や戦争に対する本人のコメントとともに、幼少期の写真や小学一年生頃に描いた肉筆漫画本、手塚のトレードマークであるベレー帽とメガネなどが展示されている。
 第二部では、「ジャングル大帝」や「ブラックジャック」など漫画とアニメの代表作を通じて手塚の制作手法を探る。漫画では、映画からヒントを得た大胆なコマ割りや擬音を文字で表現する手法を編み出した。アニメでは、一九六三年一月、日本初のテレビアニメシリーズ「鉄腕アトム」の放送を実現させた。
 第三部は、手塚作品に込められたメッセージを紹介する。「二度と戦争を繰り返さない」「正義とは何か」「生と死」など普遍的なテーマばかりだ。
 茨城独自の試みとしては、県ゆかりの作品「陽(ひ)だまりの樹」のコーナーを特設した。手塚の曽祖父で常陸府中藩(現在の石岡市)の医者だった手塚良庵(りょうあん)(のちに良仙を名乗る)が主人公。幕末を代表する思想家で水戸藩士の藤田東湖や、初代県知事に当たる県参事を務めた山岡鉄舟ら歴史上の人物が登場する。良庵の実像が古地図など歴史資料から浮かび上がる。
 六月十五日に開幕し、来館者は二十七日現在で約一万六千人と好評。首席学芸員の井野功一さん(47)は「手塚治虫が県にゆかりがあることを知らない人も多い。会場で確かめてもらえれば」と来場を呼びかける。
 六月に訪れたつくば市のアルバイト小野安男さん(70)は「子どものころに見た鉄腕アトムのアニメが強く記憶に残っている。原稿などが見られて良かった。手塚作品が県にゆかりがあるというのも印象的だった」と話した。
 開館時間は午前九時半~午後五時。月曜休館(八月十二日開館、十三日休館)。入場料は一般九百八十円、満七十歳以上四百九十円、高大生七百二十円、小中生三百六十円。

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