日本生殖医学会が不妊治療の診療指針 夏から保険適用議論が本格化

2021年6月23日 21時00分
 政府が2022年度から不妊治療の保険適用を拡大することを受け、日本生殖医学会は医療機関向けの標準的な診療指針(ガイドライン)を初めてまとめ、23日に公表した。中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)が来月から、指針を基に保険適用範囲や診療報酬を決めるための議論を本格化させる。(川田篤志)
 不妊治療は現在、自由診療が主流で、治療法や検査法は数多い。中には効果がはっきりしないケースもあり、保険適用を巡る議論のたたき台として、医学的な根拠などを踏まえた指針を策定した。

◆計40の治療や検査を3分類で評価

 国内外で行われている計40の治療や検査などについて、医学文献や関係学会の意見も参考に「実施を強く勧められる(A)」「勧められる(B)」「考慮される(C)」の3段階に分類した。子宮の両側の卵管が閉鎖している場合の体外受精は「A」。子宮内で細菌のすみかとなる細菌叢(フローラ)を調べる検査、体外受精や顕微授精で良質な精子選択技術を用いることは「C」の評価とした。

◆保険対象の線引き議論へ

 中医協は今後、指針を踏まえて、保険の対象となる治療法や検査法をどう線引きするかを議論する。高額な医療費を負担できずに不妊治療を諦める人もおり、現行の助成金制度を存続させるかもテーマになる。
 診療報酬や薬価の設定も焦点の1つ。医療機関や製薬会社が収益につながらないと判断すれば、コスト削減による治療の質の低下や薬の開発撤退を招く恐れがあるからだ。

◆質の高い医療提供可能に

 日本生殖医学会の大須賀穣理事長は記者会見で、保険適用拡大に伴い、経済的な負担の軽減や質の高い医療の提供が可能になることに期待を示した。一方、制度設計を誤れば「現行の助成金制度より高額な負担になったり、医療の質が低下したりする恐れがある」と語った。
 菅義偉首相は少子化対策の柱として今年1月から不妊治療の助成制度を拡充。現在は一部の治療に限られている保険適用の対象を来年4月から拡大させる方針だ。

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