自分の名前でいられない…婚姻届破られた…落胆する原告ら 夫婦別姓、最高裁認めず

2021年6月23日 21時06分

夫婦別姓を認めない民法の規定は違憲ではないとの最高裁判決を受け、記者会見する申立人ら=23日、東京・霞が関の弁護士会館で

 「自分が自分の名前でいるのは本来当たり前。司法にはそれを守る判断をしてほしかったのに…」
 夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定を「合憲」と判断した最高裁大法廷の決定後、原告団が東京都内で開いた記者会見で、原告の看護師真島幸乃さん(47)=仮名=は司法の判断にうなだれた。
 夫の会社員有本信さん(46)=仮名=と息子3人で、東京都国分寺市で暮らす。夫婦が2001年に選んだのは事実婚だった。

◆「フルネームが私」

 真島さんはかねて看護師として働く中、「フルネームが私の名前。結婚したからといって変えたくない」と思っていた。姓が変わると旧姓のころの実績はどうなるんだろう、という懸念もあった。
 だからといって夫に自分の姓に変えてもらいたいわけでもない。2人で話し合い、別姓のまま人生を共に歩もうと決めた。
 事実婚の翌年、長男を出産したが、親権を共同で持つことはできない。「母と子は、へその緒で強く結びついている。夫には名字で子とつながってほしい」と、子どもには夫の姓を名乗らせようと考えた。出産前に婚姻届を出して夫の姓に変え、出産後に離婚届を提出した。次男、三男のときも同じことをした。

◆今後も訴えかける

 自分だけ姓が違うことに不都合は感じないが、事実婚による困り事は多い。夫の相続人にはなれず、税法上の配偶者控除も受けられない。法律上の夫婦ではないという理由で、お互い、手術する際の同意を病院に断られる可能性もある。
 真島さんは「互いに年を重ね、病気のリスクも高くなっている。法律上の夫婦になりたいと考えるようになった」と話す。そんな思いを司法にぶつけたが、受け入れてもらえなかった。
 会見で真島さんは「今後は国会にも、法的に夫婦になれるよう訴えかけていきたい」と強調した。同席した夫の有本さんは「残念だし悔しい。お互いに望む形で結婚ができる社会になってほしい」と願った。
 別の原告の高橋彩さん=仮名=は、夫婦両方の姓の欄にチェックを入れた婚姻届を持参して会見に臨んだ。「帰りに市役所に出したかったが、破られたような気持ちだ。裁判所は個人の権利に向き合っていない」と声を詰まらせた。

◆裁判官に女性わずか2名を疑問視

 弁護団長の榊原富士子弁護士は、最高裁の裁判官15人のうち、女性が2人にとどまったことに着目し、「半数以上が女性判事だったら、このような結論には絶対にならなかった」との見方を示した。 (三宅千智)

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