留守電で声を確認 カード渡さない 増える「ニセ電話詐欺」 だまされないために

2021年6月24日 07時43分

「STOP!ATMでの携帯電話」のポスターが張られたATMコーナー=東京都品川区の城南信用金庫本店で

 親族や警察官をかたり、高齢者らから金をだまし取るニセ電話詐欺。いまだに被害は絶えず、コロナ禍で在宅時間が長くなったことで、犯人に狙われやすくなっているとの見方もある。大事な資産を奪われてしまわないために、何に気を付ければいいのか。 (佐藤大)
 「何だかマインドコントロールみたいだった。言うことを聞かなければ、という気持ちになってしまった」。東京都世田谷区で一人暮らしをする女性(77)は「還付金詐欺」に遭いそうになった経緯を振り返る。
 四月下旬の夕方、自宅の固定電話が鳴った。普段はニセ電話を警戒し、留守番電話で声を確認してから受話器を取っていたのに、この時はつい、すぐに出てしまった。「コロナであまり人と話をする機会がなかったからかもしれない」
 区役所の年金保険課を名乗る男が「低年金の方に補助金が出る、という書類が郵送で届いているはず。家の中を捜してみてください」と言い、すぐに電話を切った。一時間後に再び同じ声で電話があり、「日本年金機構に行くのが面倒なら、近くの銀行でも手続きができます」。丁寧な語り口にだまされた。
 翌朝、三たびの電話で家の近くの現金自動預払機(ATM)を指定され、言われるがまま預金通帳やキャッシュカードを持って出掛けた。ATMコーナーで警戒中だった男性警察官に声を掛けられ、われに返った。ちょうど携帯電話に男から電話があり、警察官が代わると、すぐに切れた。
 過去にも四、五回、同様の電話があった時は歯牙にもかけなかったのに、今回は信じてしまった。「恥ずかしくて、家族や友人には話していない。話の運び方が巧妙になっている。でも今考えると、おかしな話ばかり。自分だけは大丈夫という気持ちがあった」
 還付金詐欺以外にも、警察官や銀行協会職員を名乗りキャッシュカードをだまし取る「預貯金詐欺」、親族らを名乗り現金をだまし取る「オレオレ詐欺」などさまざまな手口がある。
 警視庁によると、都内で昨年発生したニセ電話詐欺の認知件数は約二千九百件、被害額は約六十三億四千万円。今年は四月までに認知件数は約千百八十件、被害額は約二十四億一千万円に上り、昨年のペースを上回っている。
 警視庁は、犯人側とそもそも接点を持たないようにするため、固定電話は留守電にして、知っている人と確認してから出ることを勧める。「会話内容は録音される」と、警告メッセージが流れる「自動通話録音機」も抑止力となる。相手が警察官や銀行員を名乗っても、絶対にキャッシュカードを渡すことがないよう注意を呼び掛けている。

◆ATMで携帯はNO 金融機関が取り組み

 還付金詐欺を撲滅するため警視庁が金融機関と連携して始めたのが、「ATMコーナーでは携帯電話の通話をしない、させない」という取り組みだ。
 被害者は犯人側から携帯電話で、ATMの操作を指示されるケースが多い。そこで警視庁は4月、城南信用金庫(東京都品川区)と多摩信用金庫(立川市)と共同宣言を行い、両信金は全店舗で「STOP!ATMでの携帯電話」と書いたポスターを掲示したり、顧客に直接伝えたりして注意を促している。
 城南信金の下谷康博副理事長は「お客さんのお金を守るのがわれわれの使命。詐欺撲滅の取り組みに協力したい」。警視庁は他の金融機関とも共同宣言を行い、取り組みを広げる方針。

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