<プロに聞く くらしとお金の相談室>高齢者医療費 私も2割に?

2021年6月24日 07時56分
<Q> 私は77歳で、同い年の妻と年金暮らしをしています。2022年度から、75歳以上の医療費の自己負担割合が1割から2割に増えることをニュースで知りました。「年収200万円以上」などの基準があるようですが、私たちも負担増の対象になるかどうか気になっています。自分で調べる方法はあるのでしょうか。

◆「課税所得」などを確認 社会保険労務士・武譲二さん

<A> 2割負担になるかどうかは、世帯の「課税所得」と「年金収入+その他所得額」の二つの基準で判定されます。
 75歳以上が1人だけの世帯は、本人の課税所得が28万円以上で、年金収入+その他所得額が200万円以上なら2割に。質問者のように75歳以上が複数いる世帯では、課税所得が最も高い人で28万円以上かどうかを見て、75歳以上全員の年金収入+その他所得額の合計が320万円以上なら2割となります。
 課税所得は、収入から給与所得控除や公的年金等控除、基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除など各種控除額を差し引いた額。毎年6月ごろ、ちょうど今の時期に市区町村から届く住民税の通知書=写真は名古屋市の通知書=で分かります。「課税総所得金額」「課税標準額」などの名称で記載されています。
 もう一つの「年金収入+その他所得額」をチェックするにはまず、自分の年金額を把握しましょう。日本年金機構から毎年6月に届く年金の通知書や、源泉徴収票に書かれています。年金以外に収入がある場合、給与は給与所得控除、事業収入は必要経費を引いた所得額を年金額に足し、合計が200万円(320万円)以上になるかどうかを確認します。
 一方、現行制度では課税所得145万円以上、収入383万円(75歳以上が複数なら520万円)以上の場合、現役世代と同じ3割負担となりますが、こちらはそのまま据え置かれます。この場合の383万円や520万円は、2割負担の基準の「年金収入+その他所得額」ではなく、給与所得控除などを引く前の収入額で見ます。
 あくまで参考ですが、現在の全国健康保険協会(協会けんぽ)被保険者の平均値で年金額を試算してみると、基礎年金と厚生年金を合わせて単身で年180万円ほど。現役時代、平均より少し多めに稼いでいた人の負担が1割から2割に増える、といったイメージでしょうか。
 2割への引き上げは家計にとってマイナスですが、これを機に健康管理に気を付けるなど、前向きに捉えることもできるでしょう。特に、これから75歳を迎える人は、今のうちから備えてほしいと思います。

<詳しく!>最初の3年 負担増は月3000円まで

 2割への引き上げは2022年度後半からの予定。国は急激な負担増を抑えるため、引き上げ後3年間は外来の負担の増加額を最大で月3000円に収める経過措置を取る。
 例えば、もともとの自己負担分が月4000円の場合、1割から2割へ単純に引き上げると8000円になるが、3000円増の7000円に抑えられる。
 一方、医療費が高額であれば、以前からの高額療養費制度が適用される。今回の2割負担の対象となる一般的な所得水準の人なら、外来の上限額は月1万8000円だ。
 厚生労働省によると、こうした経過措置と従来の高額療養費制度を踏まえると、1人当たりの負担の増加額は年約2万6000円となる。 (河郷丈史)

社会保険労務士・武譲二さん

<たけ・じょうじ> 1958年、名古屋市出身。アパレル会社員などを経て2000年に社労士登録。行政書士、ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。愛知県社労士会副会長。

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