<社説>赤木ファイル 司法の場で真相究明を

2021年6月24日 08時18分
 森友問題で、決裁文書の改ざんを苦に自殺した元財務省近畿財務局職員赤木俊夫さんが残した「赤木ファイル」を国がようやく開示した。本省による改ざんの指示とそれに「疑問だ」と抗議する赤木さんの苦衷がうかがえるメールが多数含まれている。ただ、黒塗り部分は四百カ所にも及び、国の消極姿勢は明白だ。司法の場、あるいは国会での追及を通じ、全容が解明されるよう強く求めたい。
 この件では、国有地払い下げの交渉に関する決裁文書で、当時の安倍晋三首相の妻昭恵氏や政治家の関わりを示す部分を削除するなど、十四件の改ざんが明らかになっている。赤木ファイルにあるメールの中には「(佐川宣寿・理財)局長(当時)から国会答弁を踏まえ(中略)直接指示がありました」と佐川氏の「直接指示」に言及した文面もあった。
 しかし、メールの大半は、送受信者名やアドレスの前半または全体が黒塗りされた。アドレスのドメイン(後半部分)だけが黒塗りされていないメールから、かろうじて「本省らしい」と分かるだけだ。これでは指示系統が明確には分からない。国は黒塗りの理由を「事務に支障を及ぼす恐れがある」とするが、真相解明への真剣度が感じられない。
 そもそも国はファイルを隠そうとしていた節がある。赤木さんの死後、元上司が妻の雅子さんに「改ざんの過程が一目で分かる」と明かし、雅子さんは昨年三月、国と佐川氏を相手に損害賠償を求めて提訴した際に、開示を求めた。しかし、国は存在するかどうかも答えない姿勢を取った。地裁の開示要請を受け、やっと存在を認めたのは、一年以上たった今年五月のことだ。ファイルは二十三日、大阪地裁に証拠採用された。
 一方、麻生太郎財務相は、ファイルの開示を受けた再調査は「しない」と述べた。二〇一八年に財務省が出した報告書は、改ざんの経緯に触れない不十分なものであるにもかかわらずだ。ファイルの意味を矮小(わいしょう)化しようとする姿勢ともとれる。
 桜を見る会の問題や元法相による選挙違反事件など、政治家を巡る不祥事が後を絶たないが、いずれも政府や自民党は真相究明に及び腰だ。大阪地裁の訴訟指揮で赤木ファイルの非開示部分を可能な限り開示させてほしい。森友問題は終わっていない。

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