「脱炭素」掲げ、地元にはアメ 政官財が推し進める老朽原発の再稼働

2021年6月24日 21時08分
 東京電力福島第一原発事故から10年が過ぎ、運転開始から40年超の関西電力美浜3号機(福井県)が6月23日に再稼働し、日本の原発は新たな局面に入った。事故後にできた「原則40年運転」のルールは、菅義偉首相が掲げた目標「2050年までに脱炭素社会実現」を盾に、なし崩しにされようとしている。(小川慎一)
 老朽原発の運転延長は、運転期間を定めた法律制定時に「例外中の例外」のはずだった。だが、原子力規制委員会は既に東海第二原発(茨城県)を含む計4基で最長20年の運転延長を認めた。今後30年までに11基が運転40年を迎える。6月23日に規制委が新基準に事実上適合と判断した中国電力島根原発2号機(松江市)も、その一つだ。
 発電時に温室効果ガスを排出しない原発の活用を政府が続ける以上、電力各社は可能な限り運転延長を選ぶ。九州電力は川内原発1、2号機(鹿児島県)の運転延長を検討中だ。自民党内では、運転期間のルール緩和を求める声も上がる。
 政府は見直しを進めるエネルギー基本計画で、2030年度の総発電量の2割を原発で担う現行目標を維持する方向だ。全国36基(建設中3基)のうち30基程度の稼働が必要で、運転延長は不可避となる。
 老朽原発の稼働に向け、政府は同意する立地自治体へ多額の交付金という「アメ」を用意した。世界最悪レベルの福島事故で多くの人が故郷を奪われて今も避難生活を強いられている中、政官財は原発推進を止めず、より力を入れている。

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