コロナ禍で千葉移住が増加、若い世代に人気「転入超過」1.5倍 

2021年6月25日 06時00分
 新型コロナウイルス感染拡大による3密回避や在宅勤務の広がりで郊外や地方への移住が進む中、若い世代が千葉県に移る事例が目立っている。総務省の統計では、2019年から20年の人口流入を示す「転入超過」は首都圏1都3県のうち東京都などが伸び悩む中、千葉県は約1・5倍に増えた。特に20代と30代の増加が顕著だった。地元シンクタンクは、交通の利便性や地価を理由に千葉を選ぶ人が増えたとみる。(太田理英子)
 転入超過は転入者が転出者を上回った数。総務省人口移動報告によると、20年の千葉県の転入超過は1万4273人で前年比4735人増。20代が前年比3090人増の2465人と多く、30代も同1508人増の3093人だった。
 17年以降の1都3県の転入超過数は、東京、神奈川、埼玉が毎年伸びていた一方、千葉は低迷。だが、20年は神奈川と埼玉は前年と横ばい、東京は前年の約0・4倍と大幅な縮小となったが、千葉は約1・5倍の伸びを見せた。
 会社員長谷川響馬さん(27)は四月に東京都内から同県いすみ市に転居した。「リモートワークが増えたけど都内は窮屈で、一回目の緊急事態宣言後に出たくなった」。同市には以前から友人と訪れる機会があり、「海と山があり、おしゃれな飲食店も多い。家賃が低く、東京へのアクセスも悪くない」と移住を決めた。
 市の空き家バンクを通じて見つけたのは、築五十年で5DKの日本家屋。最寄り駅から東京駅までは、特急を使えば乗り換え一回で一時間余。友人で神奈川県居住だった貴志渉太さん(27)を誘い、家賃12万円を折半して暮らす。

「一軒家なので広く、ストレスなく暮らせる」と話す長谷川響馬さん(左)と貴志渉太さん=千葉県いすみ市で

 2人とも仕事はIT関係で、基本的に在宅勤務。長谷川さんは午前6時半から始業する「朝型」生活に変わった。1日の勤務時間は変わらないが昼や夜に時間のゆとりができ、カフェや海、ホタルを見に行くことも。「静かな時間が増え、仕事の効率が上がった気がする」。貴志さんは「移住者に寛容な地域」と居心地の良さを実感する。2人とも、市内に定住して家庭を持ちたいという。
 ちばぎん総合研究所によると、20年に20~30代の転入超過が多かった千葉県の自治体は、流山市や千葉市、船橋市など東京に近い北西部が中心だが、太平洋に面する外房エリアも移住先として人気だという。いすみ市では、20年度に市に寄せられた移住相談は約420件で前年度の2倍超。少なくとも60人は実際に移住したという。
 同市は月刊誌の「住みたい田舎ベストランキング」で首都圏エリア総合1位になるなど、もともと移住先として人気。市担当者は「以前は定年後に田舎でのセカンドライフを求める人が多かったが、コロナの影響で、20~30代や働き盛りの世代からの問い合わせが増えている」と話す。
 ちばぎん総研の観音寺拓也主任研究員は、コロナ禍での住環境の見直しで千葉県の注目度が高まっていると指摘。「在宅勤務が普及しても、都心への出勤が一定程度必要な場合が多く、交通の利便性は強み。地価の安さ、自然環境も選ばれる要因だ」と分析する。
 課題は移住した若者をどうつなぎ留めるか。「移住者を受け入れる地域コミュニティーづくりが求められている。教育環境や医療福祉の充実、郷土愛醸成など、地元の魅力向上の取り組みも大切だ」と話す。

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