<寄席演芸の人びと 渡辺寧久>仕切り役を40年 公開放送収録のプロ・広中信行さん

2021年6月25日 07時07分

「長く続けていることの責任」と会の存在理由を語る広中信行さん

 “公開放送のプロ”として、その名は落語界にとどろいている。
 「一九八一年から毎月一回、必ず国立劇場小劇場(東京)に通っていました」という「落語研究会」(TBSテレビ主催)の仕切り役として約四十年。当初は地上波だけ、その後はBS、CSでも放送されている落語番組の収録を、広中信行さん(62)は下支えしている。
 古くはTBSテレビの「8時だョ!全員集合」にも携わり、現在は「輝く!日本レコード大賞」の公開放送も広中さんの仕事だ。
 コロナ禍で昨年四、五月の落語研究会の開催が中止になった。「以来、無観客で開催しています。出演者からは『大がかりな稽古場だね』とか『どこを向いてしゃべったらいいのか分からないよ』といわれたりしますけど」と首をすくめる。
 国立劇場小劇場の客席数は五百九十。そのうち、年度替わりに更新する「ご定連(じょうれん)席」(年十二回を十回分の料金で聴ける前納券)が五百。この安定性が、落語研究会の伝統の重みだ。
 「ほとんどお顔は分かります」という「ご定連」のお出迎えをする一方、前プロデューサーの今野徹さん(二〇一七年十二月五日に死去)の任を引き継ぎ、出演者を決める「顔付け」も引き受けている。
 「教科書みたいな落語会でありながらも、先頭を走ってないといけない会だよね」と今野さんと合致していた方向性を貫きつつ、「ご定連さまを大事にしながら、若手落語家と一緒に年を取ってくれる方を育てるのが、今後の研究会のあり方かなと思いますね」と先々を見通す。
 月一回の収録現場には、場慣れしたスタッフ約十名が集結し、それぞれが一所を固める。出演者以外の落語家の協力態勢も必須で、古今亭志ん吉(真打ち昇進に伴い、九月からは春風亭一花が担当)が笛を吹き、柳亭市弥と入船亭小辰(交互)が太鼓をたたく。
 「使用している座布団は、人間国宝の柳家小さん師匠や古今亭志ん朝師匠も座っていたもの。それを代々つないでいくことも大切だと思っています」 (演芸評論家)

「落語研究会」第一回(1968年)のパンフレット。現在に至るまで、判型も同じ


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