1つの店で4地域を味わう 昼はガパオ、夜はバル・・・ シェアレストラン注目集める<まちビズ最前線>

2021年6月27日 05時50分
 コロナ禍に苦しむ飲食店が、営業時間外に店舗を別の飲食店に貸す「間貸し」が東京都内で広がっている。貸す側は安定した収入を得られ、借りる側も開業費用を抑えられる。大手外食チェーンが貸したい店と借りたい店の仲介事業に参入するなど、飲食店の新しい営業方法として注目されている。(畑間香織)

「シェアレストラン」の取り組みについて話す「プリックプリックタイ」の柴直希さん=いずれも東京都千代田区で

◆1つの店に4人の店主

月曜~水曜の夜に営業する五島列島バル「ビーゴ」

 JR神田駅から徒歩5分のマンションの1階にあるタイ料理店「プリックプリックタイ」(千代田区)。カウンター5席の店は平日昼のみの営業だ。月曜~水曜の夜は長崎県五島列島の郷土料理店、木曜と金曜の夜は山形県の地酒バー、週末は不定期でスパイスカレー店に変わるためだ。4店とも店主が違う。
 タイ料理店の店主柴直希さん(37)が利用料1日7500円で店舗を貸し、月に3万5000~14万円を得る。伸び悩んでいた夜の営業を辞めたのを機に、2019年から「間貸し」を始めた。「安定的に収入を見込めるのは精神的に楽」と話す。

◆初期費用抑え、リスク少なく

木曜と金曜夜に開く山形地酒バー「はぎのや」

 タイ料理店の外観を見て夜に訪れた客が、バーなどと知って帰るケースもあるが、多くの人は面白がってくれるという。昨年10月から五島列島の料理店を営む尾崎孝高よしたかさん(36)は「店を持つと何百万と初期費用がかかる。リスクの少ない形にして良かった」と話す。
 柴さんたちは、吉野家ホールディングスの子会社「シェアレストラン」が昨年3月から運営する仲介サイトで出会った。登録者数は現在約1500人で、サイトを介して開業した店は都内を中心に約170にのぼる。同社の武重準社長(53)によると、コロナ禍で賃貸契約を控える人や空き時間に収益を得たい人の登録が増えているという。

不定期で週末にオープンするスパイスカレー店「Cumin Tokyo」

◆個人間での間貸しに注意必要

 一方、個人間で「間貸し」をする場合はルール作りが重要だ。例えば、間借りの店が食中毒で営業停止になると、オーナーの店も営業ができなくなる。東京都の担当者は、当事者間で責任の所在を明確にする重要性を指摘する。また、借りている店を第三者に貸すことは民法違反になる。不動産問題に詳しい原田和幸弁護士は「大家の承諾を得ることが必要」と話す。
 柴さんは以前の借り手がゴミ出しをしないなどの問題が起き、その人と契約更新をしなかった。柴さんは「衛生管理は最も気を使う。掃除の仕方など独自のルールを作ることが大切」と強調する。

看板などを変え1つの店で4つの飲食店が営業する

関連キーワード


おすすめ情報

東京けいざいの新着

記事一覧