福島第一原発の放射性廃棄物 高まる漏えいリスク 保管設備の劣化進む

2021年6月28日 06時00分
 事故から10年が過ぎた福島第一原発(福島県双葉町、大熊町)で、放射性廃棄物を保管する設備の劣化が進み、東京電力は漏えいリスクに直面している。膨大な量と高い放射線量が対応を難しくさせており、ゴールの見えない廃炉工程では核燃料取り出し以外にも高いハードルがいくつもある。(小野沢健太)

◆汚泥容器31基が寿命超え

 「速やかに移し替えるべきだ」。6月7日、福島第一の事故収束作業を議論する原子力規制委員会の検討会で、伴信彦委員が東電に迫った。汚染水の浄化処理で発生する廃棄物を保管する容器31基が既に寿命を超えていると、規制委の試算を突き付けた。
 事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)が残る原子炉建屋に雨や地下水が流れ込んで発生する汚染水は、多核種除去設備(ALPS)で大半の放射性物質を除去する。
 その際に出る高濃度の放射性物質を含む汚泥を、ステンレスで補強したHICというポリエチレン製容器(直径1・5メートル、高さ1・8メートル、厚さ約1センチ)に入れて保管している。その数は約3300基に上る。
 東電は、容器底から20センチ上の汚泥の密度から放射線量を試算し、容器が寿命を迎えるのは2025年以降と見込んでいた。だが、規制委は底にたまった汚泥は密度が濃く、放射線量も高いため劣化は速く進み、今後2年間でさらに56基が寿命を迎えると試算した。東電は対応見直しを迫られ、8月から急ピッチで新しい容器へ移し替える。

◆野ざらしコンテナ 中身は不明

 がれきや使用済み防護服などの放射性廃棄物を入れた金属製コンテナも劣化が進む。約8万5000基のコンテナが野ざらしになっており、3月には1基の底部が腐食で穴が開いていたことが判明。高線量のゲル状の中身が漏れ、放射性物質が海へ流れ出ていた。
 コンテナのうち約4000基は、具体的な中身が分かっていない。東電は事故当初、廃棄物の管理に手が回らず、17年11月までは中身の記録方法も不十分だった。今年7~10月にコンテナを開けて確認するが、線量が高い廃棄物が多く、作業員の被ばくが避けられない。
 東電は屋外保管する廃棄物を焼却したり破砕したりして量を減らし、28年度には建物内に移す計画。しかし、肝心の焼却設備は試運転で不具合が起き、今年3月の稼働開始を1年先送りに。ごみの処分でさえ計画通りには進んでいない。

東京電力福島第一原発ではタンクやコンテナだけではなく、建屋など全てがいずれ廃棄物となる=福島県大熊町で、本社ヘリ「おおづる」から

◆地震リスクも深刻

 2月から続く地震もリスクを高めている。事故当初に汚染水を保管するために急造したボルト締め型タンク6基で、5月までに水漏れが相次いだ。地震では、タンク外周に取り付けられた足場やふたが落下した。
 鋼板をボルトでつなぎ合わせたタンクは耐久性に問題があり、ほとんどは溶接型タンクに置き換えられた。
 ボルト締め型タンク約30基には5、6号機の建屋地下にたまる放射能濃度が低い水1・6万トンを保管し、浄化処理して敷地内に散水している。
 このタンクのつなぎ目の止水材は耐用年数が5年ほどとされるが、いずれも建設から10年近くたっている。作業員らは1日4回水漏れがないか確認している。
 5、6号機への地下水の流入を止めるのが問題解決への近道だが、東電は「ボルト締め型タンクを使わない方法を検討中」と説明するのみで、具体策を示していない。

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