<Q&A>東芝株主総会問題の外為法って? 経産省介入に問題はないの?

2021年6月29日 20時59分
 取締役会議長の再任案が否決されるほど、東芝に対して株主の不信感が高まっています。その要因となっているのが、経済産業省が「外為法」の権限を背景に東芝と一体となって、株主へ不当な圧力を掛けた疑いです。この疑いについては、梶山弘志経産相は29日の会見で「適正な業務を遂行している」としてあらためて否定しました。外為法とはどんな法律なのでしょうか。(原田晋也)
Q 外為法の目的は何ですか。
A 法律の正式名称は「外国為替及び外国貿易法」です。わが国と外国の間でお金や物品などの対外取引が行われる際、必要最小限の管理を行うために設けられました。昨年5月施行の改正外為法では、海外投資家による日本企業への出資規制を強化しました。
Q 具体的には。
A 政府は、海外投資家が資産運用以外の目的で国の安全保障に関わる上場企業の株式を取得する際、事前届け出が必要な銘柄を公表しています。原子力関連や武器、通信など特に規制が必要な14業種を指定。東芝や三菱重工、NTTなど具体的な企業名を500社以上挙げています。出資後に問題が発覚した場合は、株式の売却などを命じることもできます。
Q 東芝の問題で、外為法はどのように関係しているのですか。
A 外部弁護士の報告書では、東芝を所管する経産省情報産業課長が、東芝へ取締役選任の株主提案をした外資系ファンドに対し「規制当局がもう抑えきれなくなってきている」などと発言し、外為法による規制適用をちらつかせながら株主提案を取り下げるよう迫ったとされています。
Q 報告書で指摘されている経産省の行動に問題はなかったのでしょうか。
A 報告書は、東芝と経産省の一連の行為の目的がアクティビスト(物言う株主)の排除にあり、外為法の趣旨から逸脱したと指摘しています。しかし、梶山氏は安全保障の観点から「当然のことを行った」と詳細は説明せず、独自調査も行わない考えです。
 企業法務に詳しい牛島信弁護士は「海外投資家には大きなショックであり、不安だろう。国の安全のために権限を行使することは当然だが、経産省がその理由をきちんとした調査と根拠に基づいて説明できなければ、安心して投資できない。経産省にとっての一つの正念場だ」と注文しました。

関連キーワード


おすすめ情報