「自分で生きるしかない」「公平じゃない」 東京の「夜の街」歌舞伎町の人々が都議選前に思うこと

2021年6月30日 06時00分

午後8時過ぎの歌舞伎町。シンボルの看板のあかりは消えていた=東京都新宿区で


 政府や自治体による新型コロナウイルスの感染対策で、飲食店が苦境にあえいでいる。中でも東京都新宿区の歌舞伎町は、感染拡大の象徴のように言われたこともあった。出口の見えない営業自粛要請は、この街で働く人たちを追い詰めている。7月4日投開票の都議会議員選挙に何を思うか、聞いて歩いた。(中村真暁)

◆客引きの男性「人が全然いない」

 都議選告示日の6月25日は、3度目の緊急事態宣言が解除されて初の金曜日。宣言解除後も飲食店の営業を午後8時までとする都の要請は続く。午後9時、要請に従わず営業中のホストクラブの客引きをしていた男性に聞くと「コロナ前に比べたら(人は)全然いない」。外国人観光客でにぎわった有名レストランの看板は外されていた。空き店舗も目につく。
 歌舞伎町でホストクラブ6店の運営などをする「NEW GENERATION GROUPニュージェネレーショングループ」の桑田龍征オーナー(35)は都議選に関心がある。「コロナ禍を通じ、政治家がいかに影響力を持っているかを実感した。若者が選んだ人に、政治家になってもらいたい」と願う。

「若者には選挙へ行ってほしい」と話す桑田龍征オーナー=新宿区で

◆歌舞伎町は「スケープゴートにされた」

 桑田オーナーは歌舞伎町が「夜の街」と呼ばれたことで、「スケープゴートにされた」と感じている。ホストは個人事業主で、企業が従業員に支払う休業手当の一部を公的に助成する「雇用調整助成金」などの対象にならない。店は昨年4月に全店休業した際、2000万円の損失を出したという。昨年6月から深夜営業を続ける理由に「国が助けてくれないなら、自分で生きるしかない。生きるか死ぬかをてんびんにかけた結果だ」と説明した。
 ガールズバーに立ち寄ると「店を閉めても損するだけ。公平じゃない」と、20代の女性スタッフがぼやく。店は、3月まで続いた2度目の緊急事態宣言までは要請に従ったが、スタッフの生活を支えるには限界だった。その後、明け方までの通常営業に踏み切ったが、客足は戻らない。売り上げは月300万円も減った。東京五輪・パラリンピックの開催が近づくが、「観光客が来ないなら関心はない」と言う。

◆「スタッフの生活が最優先」

 6月から酒を出して営業している別の酒場の30代の代表者は「都からの協力金は家賃や光熱費などの支払いにも追いつかなかった」。生活に困って「パパ活」を始める女性スタッフが現れたことに胸を痛めたといい、「スタッフの生活を守ることが最優先だ」と話した。
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