「道の駅」建設に賛否 常総市の住民投票条例案あす採決

2021年6月30日 07時34分

住民投票条例案を市議会に提出し、意見を述べる神達岳志市長(手前)=いずれも常総市で

 常総市が首都圏中央連絡自動車道(圏央道)常総インターチェンジ(IC)周辺で計画している「道の駅」を巡り、建設の賛否を問う住民投票条例案が七月一日の市議会で採決される。条例制定を直接請求したのは、計画を疑問視する市議六人。しかし、議会は建設賛成派が圧倒的多数を占めており、条例案は否決される見通しだ。市民からは「議会内の争い」と冷めた声が漏れる一方、「市民の声を聞くべきだ」と住民投票の実施を期待する人も少なくない。(林容史)

◆署名3千7百超

 道の駅は、市が常総IC周辺で進める大規模農業施設「アグリサイエンスバレー」エリア内の二ヘクタールに建設される。道の駅の着工予定は来年五月以降だが、現地を訪ねると、民間の物流倉庫の骨組みが早くも姿を現していた。
 請求代表者の一人である堀越道男市議は「計画はたびたび変更されてきた。市民の間からも、不透明な事業内容に疑問が上がっている」と住民投票の正当性を訴える。
 堀越氏ら市議六人は四月、住民投票条例に向けた手続きをスタートした。今月七日、地方自治法が定める有権者の五十分の一(三月一日現在で九百八十四人)の四倍近くの三千七百六十六人の署名を添えて、神達岳志市長に条例制定を直接請求。神達市長は二十五日に臨時市議会を招集し、道の駅の土地購入と建設にかかる市費の支出について市民に賛否を問う条例案を提出した。

◆年間予算の1割

 堀越氏らが最も懸念するのはコストだ。堀越氏らによれば、二十億円近くの整備費は、市の年間予算の約一割に当たる。市は国や県の補助金を当てにするが、建設後も毎年、維持管理費が重くのしかかる。
 加えて必要性にも目を向ける。道の駅の隣には民間商業施設の建設が予定され、競合しかねない。県内には道の駅が既に十四カ所で営業しており、「同業」間の競争も激しい。請求代表者の遠藤章江市議は「賛成する声はほとんどなく、市民に受け入れられる施設ではない」と断じる。
 神達市長は、条例案に付した自身の意見で賛否を示さなかったものの、「交流人口の拡大と定住の促進を図る」と重要性を説いた。
 建設に賛成する倉持守市議は「これまでの休憩所とは違う。多くの人を呼び込めば、農業振興だけでなく、経済の活性化にもつながる」と期待を寄せる。
 条例案を巡っては、整備事業用地の取得契約案が十日の市議会で可決された点を強調。「議会の決定は重い。条例案には反対だ」と語気を強める。

◆コンビニと同じ

 市民は条例案をどう見ているのか。
 常総ICの近くに住む自営業の女性(81)は「計画が進んでいるのに、今さら議員たちが騒いでもしょうがない」と突き放す。農業の男性(79)も「市長が進めると言ってんだろ。ちょっと難しいんじゃないか」と首をひねる。
 とはいえ、二人とも道の駅自体には懐疑的だ。男性は「道の駅はコンビニと一緒。どこにでもあるから、新しい道の駅が出来ても、わざわざ行こうと思わない」と一笑に付す。女性も「コメも野菜もほかで買う」と興味は薄い。
 住民に直接意見を聞かないまま、建設されてしまうのか。
 ICから離れた市街地で暮らす男性(70)は「市役所の一部で事業を進めるよりも、市民の意見を聞くべきだ」と住民投票の実施に賛成する。道の駅計画については「運転ができない年寄りはどうやって行くのか。税金の無駄遣いだ」と切り捨てた。

急ピッチで工事が進むアグリサイエンスバレー

<アグリサイエンスバレー> 常総市は農業の活性化を目的に、2014年から常総IC周辺で「アグリサイエンスバレー構想」を推進。15年の常総水害などで規模が縮小された。現在の計画では、約45ヘクタールを造成し、大規模施設園芸や観光農園、物流倉庫のほか、道の駅や民間商業施設を整備。23年3月の開業を目指している。道の駅の建設費は16億〜18億円を見込む。

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