高須院長の道義的責任は?「私は逃げない」も説明不足…愛知県知事リコール不正 

2021年6月30日 12時00分
 愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る署名偽造事件は、リコール活動団体事務局長の田中孝博容疑者(60)ら3人が29日に地方自治法違反(署名偽造)の罪で起訴され、刑事裁判という新たな局面に入る。田中被告とともに運動を率いた活動団体会長で美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長については、不正に関与した事実は確認されておらず、刑事責任は問われない見込みだ。ただ、運動トップとしての道義的責任を問う声は根強い。

愛知県選管から署名集めに必要な請求代表者証明書を受け取るリコール活動団体会長の高須克弥氏(左)=2020年8月、愛知県選管で

 「高須先生も知っている」。関係者によると、署名集め期間が残り1カ月を切った昨年10月、田中被告は名古屋市の広告関連会社にアルバイトによる名簿の書き写し作業を依頼する際、高須氏の名前を挙げて不正への協力を求めた。作業日程の延長を相談した際には、同社から「お金は足りるのか」と尋ねられ、「高須先生が払ってくれるから大丈夫」と答えていたという。
 高須氏の女性秘書を巡っても不正への関与が明らかになった。アルバイトによる大量の偽造署名に指印を押す不正に参加していたことが本紙取材で判明。関係者によると、指印不正に加え、名古屋市内で女性秘書が署名の偽造にも関与していた疑いが新たに浮上した。
 高須氏は本紙の取材に「不正は全く知らなかった」と主張。「全責任は私が取る。私は逃げない」としながらも、不正に自身の名前が使われたことや女性秘書の不正について責任を問われると、「巻き込まれた人はかわいそう」と述べるにとどめた。
 田中被告も逮捕前、本紙の取材に「署名が集まらずに焦っていた。高須先生に恥をかかせるわけにはいかなかった」と話した上で「高須先生にはアルバイトのことは一切報告していない」と高須氏の関与を否定していた。
 愛知県警のこれまでの捜査では高須氏が不正を事前に認識していたという事実は確認されていない。高須氏は活動団体側に資金的な支援をしていたが、高須氏の資金がアルバイトの費用などに充てられた形跡もなかったという。
 高須氏には活動団体への寄付金の返還を求める民事訴訟なども起きている。リコール運動の中心を担った請求代表者の1人は「高須氏は『責任を取る』と言うばかりで実際には何もしていない。なぜ不正が起きたのか、トップとして説明を尽くすべきだ」と憤る。

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