「パートナーシップ制度」で意見対立 県の勉強会、方向性出せるか

2019年6月4日 02時00分

性的少数者への支援を検討する県の勉強会。マイクを持ち発言するのは清山委員長=県庁で

 LGBTなど性的少数者のカップルをパートナーとして認めようと県が導入を目指す「パートナーシップ制度」など性的少数者への支援策を検討する県主催の勉強会が五日、最終回を迎え、報告をまとめる予定だ。だが、パートナーシップ制度を巡っては当事者や医師、県議ら委員十人の意見の隔たりが大きい。勉強会がどのような方向性を打ち出すのかが注目される。(鈴木学)
 「パートナーと書面に名前を書く機会があって、それが生きるエネルギーになった」。会合で、当事者でもある小学校講師の鈴木茂義さんは、制度導入の意義をそう説明した。
 県が当事者からの聞き取りや調べた中では、パートナーとの民間住宅への入居を断られたり、法律上の親族でないため、病院で治療の説明を受けられないことがあったという。
 そうした状況を改善しようと、県はパートナーと証明する書類を発行する方針を打ち出した。だが、県議会最大会派のいばらき自民党は「時期尚早」との見解。県は対立を避け、勉強会を設置し支援策を検討することにした。
 これまで三回あった会合では、制度導入の是非で委員が主張を譲らず、着地点は見えない。
 県医師会副会長の満川元一さんは「行政の認知があれば、病気の告知などで有力な後押しになる」と制度の有用性を述べた。
 一方、委員の一人で、いばらき自民に所属する田口伸一県議は「宣誓制度なのに、婚姻につながるという誤解が生じている。制度の前に県民の理解増進を優先すべきだ」。性的少数者への差別を禁止する条例改正案に県民として意見を寄せた松永幸子さんは「制度が広がっていくと、同性婚も認めろとなっていく」と否定的だ。
 ジェンダー研究などが専門で、委員長を務める茨城大の清山玲教授は「証明書ではなく、まずは当事者たちの宣誓を受理したという受領証を出すことが最初の一歩かなと思う」と語り、「困っている当事者を支援でき、全員がある程度納得できるよう議論を取りまとめたい」とした。
 勉強会が具体的な提言を取りまとめられるかが焦点になる。県は報告を受け、政策に反映させるという。

◆暮らしやすい環境に 世田谷など先行する自治体

 県によると、性的少数者のパートナーシップ制度を導入するのは東京都渋谷区など二十自治体ほどある。先行する自治体では、カップルを公認することで周囲の理解が広まり、当事者が生活しやすい環境を整えるのに役立っているという。
 東京都世田谷区は二〇一五年十一月に導入し、五月末時点で九十二組のカップルが制度を利用。病院への付き添いに医者が理解を示すなど効果が出てきているという。
 区によると、四月一日に制度を改正し、利用できるカップルの形態の幅を広げると同時に、申し込みの条件を厳しくした。これで、賃貸住宅が借りやすくなったという声もあった。
 千葉市は一月に証明書交付を始めた。事実婚も含めた三十七組が利用し、親族として位置づけられ、市営の住宅や墓地に申し込めるようになった。
 民間に対しても家族として証明する材料になり、保険料の受け取りや、携帯電話の使用料で家族割りが利用できるようになった。市の担当者は「使える制度を増やすため、民間に理解を求めたい」と話す。
 神奈川県横須賀市は四月に制度を導入したばかりで、利用者は事実婚を含め五組。以前から市立病院では同性のパートナーなども家族扱いとなっていたが、導入を機に、民間医療機関でも同じ対応となるよう求めていくという。市の担当者は「まずは制度をきちんと運用し、充実させられる部分はより良くしたい」と話す。(水谷エリナ)

関連キーワード

PR情報

茨城の最新ニュース

記事一覧