<社説>三菱電機不正 安全性軽視が甚だしい

2021年7月1日 07時45分
 三菱電機=写真は本社が入るビル=が鉄道向け空調機器をめぐり長期間不正な検査を続けていた。事実を把握しながら株主総会でも説明しておらず極めて悪質だ。製品の安全性を軽視する姿勢を強く批判したい。
 問題の製品は同社の長崎製作所で製造されていた。防水性や消費電力、電圧の制御などについて適切な検査を行わず出荷していた。一九八五年ごろから続いていたとみられ、事実なら三十五年以上不正は放置されていたことになる。
 製品は新幹線を含むJR各社や私鉄、地下鉄など全国の鉄道車両に使われている。鉄道利用者は検査不十分な空調が取り付けられた車両を長期間利用していたことになり、安全運行上極めて深刻な事態である。
 さらに製品は欧米各国にも輸出しており、日本製品の信頼低下にもつながりかねない。
 三菱電機は「安全性に問題はない」としている。だがなぜ安全だと言い切れるのか。同社は六月中旬に社内調査で不正を知りながら、同二十九日の株主総会でも事態を明らかにしなかった。この姿勢を目の当たりにしては社の言葉を信じるわけにはいかない。
 同社やグループ会社では二〇一八年以降、不正検査問題や安全認証の基準を満たさない製品の出荷が立て続けに発覚。一方、一九年には若い社員がパワハラで自殺し今年労災認定された。若い社員の自殺はその三年前にも起き、遺族がパワハラやいじめが原因として提訴し和解に至っている。
 一連の不祥事の経緯や対応をみる限り、同社が持つ隠蔽(いんぺい)体質や人事・製品管理の杜撰(ずさん)を強く疑わざるを得ない。
 不正の報告を受けた経済産業省は今後、徹底的な調査を行った上で厳正な処分を科すべきだ。同社は社内調査するとしているが、第三者機関による公平な調査でなければ到底信用できない。
 神戸製鋼は製品のデータ改ざん発覚後、経営トップが引責辞任した。今回の問題は鉄道利用者の安全に直接関わる問題であり責任はより重い。
 同社全体に猛省を促すとともに経営陣の刷新を求めたい。 

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