「胸を張って歩くために決断」クーデターに抗議するため難民申請 ミャンマー代表サッカー選手、面接前の心境告白

2021年7月2日 06時00分
オンラインのインタビューで、三本の指を掲げるピエ・リヤン・アウンさん

オンラインのインタビューで、三本の指を掲げるピエ・リヤン・アウンさん

 「後悔はしない。『自分は正しいことをした』と胸を張って人々の前で歩くために決断した」。サッカーのミャンマー代表選手としてワールドカップ(W杯)予選で来日後、母国のクーデターに抗議し難民申請したピエ・リヤン・アウンさん(25)が、本紙のインタビューにオンラインで応じた。2日に大阪出入国在留管理局の面接を受ける。不安は尽きないが決意は揺るがない。(北川成史)

◆マンダレーの実家を国軍が監視

 関西空港で帰国便への搭乗を拒んだのは6月16日。同月22日、難民認定を大阪入管に申請。当面の在留と就労を認める緊急避難措置の適用も求めた。
 今は、支援者の在日ミャンマー人が用意した大阪府内の家で暮らす。2日の入管の面接では現在のミャンマーに戻る危険を訴える予定だ。
 いくつかの会社から「うちで働いたら」と打診があった。「サッカーで生活したいが、申し出はとてもありがたい」と喜んだ。
 ただ、母国の国軍の目は厳しくなった。
 国軍は第2の都市マンダレーにある実家の住所を帰国したチームメートから聞き出し、監視を始めた。
 マンダレーでは6月22日、武装した民主派の市民の拠点を国軍が急襲し、複数の死者が出た。危険な目に遭っていないか。親や兄弟と互いに気をもみ、ネットを通じ日々連絡を取り合っている。

◆「鶏1羽を殺すように国民を殺す」

 クーデターから1日で5カ月。市民の犠牲者は800人を超えている。その中にはサッカー仲間も含まれている。「鶏1羽を殺すように国民を殺す。そんな権力者は必要ない」と憤る。
 国軍のクーデターが起きた2月1日、代表チームの合宿で最大都市のヤンゴンにいた。「アウン・サン・スー・チー国家顧問が拘束された」と聞いて驚き、自身も抗議デモに加わった。
 ミャンマーサッカー連盟は当初、選手らの求めに応じ「連盟は国軍の影響下にはない」との声明を出す意向を示していたという。

◆葛藤の末「母国のために声を上げよう」

 このため、代表での活動を続けたが、5月に来日する直前、連盟が公表した声明は、代表辞退者への罰則を示唆するなど選手への圧力めいた内容で、要望とかけ離れていた。
 「ならば、日本に到着後、ミャンマーのために自分で何かをしよう」と抗議の意思を世界に向けて発信することを決めた。
 千葉市で5月28日開催されたW杯予選の日本戦では国歌斉唱の際、国軍への抵抗を意味する3本指を掲げた。帰国をやめるまで葛藤を重ねたが、今は悔いはない。「正しい行動をしたことは、将来まで残る私の歴史となるから」

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