初世梅若万三郎の「弱法師」音源をデジタル化 クリアな音 横浜能楽堂で初披露

2021年7月2日 07時45分

祖父の初世梅若万三郎の芸について語る当代万三郎=東京都渋谷区で

 明治から昭和にかけて能楽界に大きな足跡を残し、「名人」と称されたシテ方の初世梅若(うめわか)万三郎(1868〜1946年)の至芸を、最新技術によるデジタル化音源で鑑賞する会が18日午後2時半から、横浜能楽堂(横浜市西区)で開催される。 (ライター・神野栄子)
 「明治の三名人」の一人、初世梅若実(みのる)(一八二八〜一九〇九年)の長男として生まれた万三郎は実に鍛えられ、華麗で壮大な芸風を継承。三千回ほど舞い、「安宅(あたか)」などをよく披露していた。一九四六年に文化勲章を受章した。孫の当代(三世)万三郎(80)=シテ方観世流=は祖父から直接指導は受けなかったというが、「祖父の衣装が何点か残っている。小柄だったようだが、舞台での芸は大きく力強かった」と記憶をたどる。

1931年、「安宅」を舞う初世梅若万三郎=著書「亀堂閑話」より

 今回の会を企画したのは当代の弟子、加藤真悟(62)。入門から四十年、稽古を積む中で初世の著書「亀堂閑話(きどうかんわ)」を読み、「稽古は厳しく、稽古をし尽くして、舞台では慢心せずに謙虚であれ。慢心すれば隙だらけの芸になる。慢心しなければ大きな芸になる」との教えを大切にしてきた。
 さらに、収集した三〇年ごろの音源を聴きながら、初世の芸を学んだ。「貴重な音源を一人で聴くよりも多くの方と聴き、初世の先生の足跡をたどりたいと温めてきた企画。長い間の夢が実現することになりうれしい」と話す。
 今回の「第十二回よこはま能の会」のために、初世の独吟「弱法師(よろぼし)」の一節を最新技術でデジタル化。盲目の弱法師が心眼で美しい世界が開けたというくだりをクリアな音で再生する。続いて、当代が同じ場面の謡を披露。時空を超えて、万三郎家の華麗な芸の継承を体感できる豪華なひとときになりそう。加藤のシテによる「弱法師」も上演する。
 梅若研能会=(電)03・3466・3041。

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