「搾取」の汚名負った外国人技能実習制度 米国務省の人身売買報告書が指摘

2021年7月2日 21時19分
 米国務省が1日発表した世界各国の人身売買に関する2021年版の報告書で日本の外国人技能実習制度の悪用が問題視されたのは、多くの実習生が劣悪な環境でも働き続けるしかない状況に追い込まれているからだ。日本の技術を母国に持ち帰ってもらう「国際貢献」の理念は色あせ、逆に「搾取」の汚名を負った。

「13万5000円と聞いていた手取りが実際は8万円ほどしかなかった」と技能実習を振り返るベトナム人男性=東京都内で

◆「手取り月13万5千円」、実際は8万円

 「稼げないし、職場のいじめが怖くて逃げ出すしかなかった」
 元実習生のベトナム人男性(30)は2日、本紙に2018年の実習先での経験を明かした。125万円を借金して来日したが、手取り13万5000円と聞いていた給与はわずか8万円ほど。社長の従業員に対する暴力や嫌がらせから、「次は自分かも」と不安に陥り、半年ほどで逃げ出した。

◆7割以上の事業所で労働時間などの違反

 いったんは入管施設に収容され、今は仮放免中。働くことは認められない。コロナ禍で航空便がないため帰国もできず、生活に窮して支援団体に保護された。そもそも実習制度は劣悪な職場であっても簡単に仕事を変えられない仕組みだ。この男性のような失踪者は19年、9000人近くに上り、その後も後を絶たない。
 厚生労働省によると、技能実習生は毎年増え、昨年10月で40万2356人。外国人労働者の23・3%を占める。賃金は月平均16万1700円で、外国人労働者全体の同21万8100円を大きく下回る。19年に実習先約1万事業所を調べると、7割以上で労働時間や残業代の支払いなどで違反があった。

◆指宿弁護士は「制度廃止を」

 人身売買と闘うヒーローに選ばれた指宿昭一弁護士は2日、「実習生はブローカーへの手数料などで多額の借金を背負い、職場移動の自由はなく、低賃金やパワハラなどがあっても働き続けなければならない。実習制度はまさに人身取引的な労働の根源だ」と指摘。「制度を廃止し、中間搾取されず、人権も守られる受け入れ制度をつくるべきだ」と話す。(山田晃史)

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