東京五輪 コロナ禍で歓迎式典なし 初の選手団 アルゼンチン柔道女子が境町に

2021年7月3日 07時58分

境町の宿舎に到着したパウラ・パレト選手(右から2人目)ら=境町蛇池で

 東京五輪開幕を控え、事前合宿のため外国人選手団が二日、初めて県内入りした。第一号は、境町が受け入れた柔道女子アルゼンチン代表の選手ら四人。新型コロナウイルスの感染防止で、歓迎セレモニーはなく、静かな合宿入り。町は毎日、担当職員をPCR検査するなどで対策を徹底したいとする。だが、町民からは「なぜこのタイミングで五輪か」「感染が心配」と不満や不安の声が漏れた。(出来田敬司、保坂千裕)
 この日、境町入りしたのは、リオデジャネイロ五輪柔道48キロ級金メダリストのパウラ・パレト選手(35)と監督、コーチら。千葉県の成田空港に午前八時半すぎに到着し、二時間後にPCR検査を受けた。いずれも陰性が確認され、空港を出発できたのが午後一時ごろ。空港で四時間以上も足止めされた形になった。
 四人は二時半ごろ、町のワゴン車で宿舎となる「ホテルスタンバイリーグさかい」(蛇池)に到着すると、疲れた様子もなく報道陣に「Hola!(こんにちは)」と笑顔。町民による歓迎セレモニーはなく、すぐに各部屋へ直行した。
 境町は柔道のほかホッケー、バレーボール、ハンドボールのアルゼンチン選手団計九十七人を受け入れる。ハンドボールの二十二人は町内の体育館がワクチン接種会場になったため使えず、練習や宿泊場所が行方市などになる。他はほとんどが町内の武道館やグラウンドなどを拠点とする。
 町は感染対策として、選手と外部の接触を制限する「バブル方式」で対応する構えだ。選手らの宿舎は一般の利用者とは別棟で、動線を完全に遮断。食事は施設内に限る。担当する町職員は毎日のPCR検査で、感染の有無を調べる。
 町地方創生課の川上透課長は「選手らと町民との交流の場を設けたかったが、この状況では難しい。アルゼンチン代表がこのホテルに宿泊したというのが、レガシー(功績)となればいい」と語る。
 ただ、五輪に向ける町民の反応はいまひとつだ。
 山神町の化粧品店経営の男性(78)は「(政府は)日本人には外出の自粛を求めるのに、外国から来た選手は無差別に入国させている。選手に罪はないが、なぜこのタイミングで五輪をするのか分からない」と憤る。
 大歩(わご)のパート女性(58)も「世のコロナさえなければ選手たちを歓迎するのだが、ウガンダ選手のように感染したまま入国することもある」と不安視。「せっかく境町に来てくれたのに、どこへも出歩けずかわいそうだ」と同情する。

◆事前合宿受け入れ 県内12自治体で13カ国500人

 東京五輪・パラリンピックの事前合宿を受け入れるのは県内十二自治体で、十三カ国の選手やコーチら五百人近くになる見込みだ。特に複数国を受け入れる自治体は、利用する施設を時間ごとで各国に割り振るなど、少しでも接触を減らすよう感染対策を工夫する。ただ、感染リスクが消えないとして今月に入っても、合宿が中止になるケースも出ている。
 県内で最も多い四カ国の選手団を受け入れる潮来市は、ボートとカヌーの屋外競技だが、屋内のトレーニング施設などの利用時間を分ける。担当者は「各国のコーチの意見を最優先にしつつも、接触を減らす配慮をしたい」と話した。
 また、市では関係者が宿泊する施設の従業員ら約百人を対象にワクチンを優先的に接種。八日には二回目の接種が終わるという。
 笠間市では、米国と仏の二カ国のスケートボード選手団が十五日に合宿を始める予定。練習場所は四月に完成した「ムラサキパークかさま」で、二カ国が接触しないよう午前と午後の練習時間を二コマずつに分けて割り振る。対応する市職員も国ごとに分けた。担当者は「新しい施設で気兼ねなく、のびのびと練習してもらいたい」と話した。
 ただ、感染の不安が拭えないため、当初は十七市町で受け入れ予定だったが、中止が相次いでいる。
 日立市は六月、ロシアの女子バレーボールチームの中止を発表。ロシア側からは「チームと市民の安全対策を実施することが困難」との説明があった。

◆中止も相次ぐ

 七月一日になって、行方市がモンゴルのウエートリフティング、笠間市が台湾の男女ゴルフの中止をそれぞれ発表した。台湾のゴルフは関係者十二人が訪れ、市内のゴルフ場「宍戸ヒルズカントリークラブ」(南小泉)で練習予定だった。
 山口伸樹市長は「ゴルフ場の協力のもと、万全の態勢で迎え入れる準備を進めてきたので誠に残念だ。今後も相互の交流を進めていきたい」とコメントした。

おすすめ情報