米、連邦の死刑執行停止 執行方法などを検証 有色人種への偏り懸念

2021年7月3日 19時08分

バイデン大統領(AP)

 【ニューヨーク=杉藤貴浩】米バイデン政権が連邦による死刑執行を停止し、死刑政策や執行方法を検証することを決めた。米国の死刑を巡っては、執行対象が有色人種に偏るなどの批判も多く、保守的な南部の州でも廃止の動きがある。執行停止はバイデン大統領が公約する連邦死刑の廃止を前進させる可能性もある。
 今回の執行停止は、昨年7月に17年ぶりの連邦死刑を実施し、今年1月の政権交代までに13人に執行したトランプ前政権からの大きな転換となる。
 ガーランド司法長官は1日の声明で「誰もが憲法と法で保障された権利を与えられるだけでなく、公平で人道的に扱われなければならない」と指摘。「死刑の恣意しい的な適用や有色人種への影響について深刻な懸念がある」として、薬物使用による痛みの可能性なども含め施策の妥当性を見直す考えを示した。
 米民間団体「死刑情報センター」によると、昨年10月時点で全米の死刑囚の41.6%が黒人で、人口比の約13%を大幅に上回っている。同センターは「ある地域では被告が黒人である場合、同様の状況の白人に比べ死刑を宣告される確率が4.5倍高かった」とする研究も挙げ、死刑に関して人種的偏見が根強い現状を指摘する。
 米国では連邦法に違反した場合とは別に、各州の州法違反での死刑もある。バージニア州は2月「死刑は不公平で効果がなく非人道的だ」として、南部州として初めて死刑制度を廃止した。全米50州では現在23州が廃止、3州が執行停止で、存続州は24州と半数を割っている。
 バイデン政権は、連邦死刑を廃止する法案の成立を目指すとしているが、政権発足から目立った動きはない。有力人権団体「全米市民自由連合(ACLU)」は2日の声明で執行停止と施策の見直しを支持しつつ、「バイデン氏はすべての死刑判決を減刑し、執行を完全に止めるべきだ」と求めた。

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