<差別なき社会へ>川崎市禁止条例施行1年 市は一層の啓発、救済を 師岡弁護士、川崎区で講演

2021年7月4日 07時11分

講演する師岡康子弁護士=川崎区のふれあい館で

 ヘイトスピーチ問題の第一人者、師岡康子弁護士が3日、川崎市川崎区のふれあい館で講演した。市差別禁止条例の全面施行から1年がたち、露骨なヘイトスピーチはやんだと評価しつつ「在日朝鮮人の市民を敵や犯罪者とみなし、共生を否定するような広義のヘイトは続いている」と市内の街宣における課題も指摘。条例に基づく一層の啓発と差別救済の取り組みを市に求めた。(安藤恭子)
 師岡さんは「あらゆる差別を許さない共に生きる社会の実現へ」と題して講演。ヘイトスピーチに全国で初めて罰則を設けた条例の意義と課題を報告した。
 条例について「法律に先駆けて差別を犯罪とした意義はとても大きい。手続きは非常に慎重なので、多くの憲法学者も合憲としている。反差別の取り組みとして、世界的にもモデルとなる条例」と評価した。
 その上で多文化共生の否定や「在日が川崎を支配している」といった言動が街宣で起きていることに「今は反差別のカウンター市民が直接抗議しているが、本来は市が啓発すべき差別的言動」と指摘。市が専門家審査会の意見も聴いて非難のメッセージを発し、街宣の場でも啓発チラシを配るなど一層の対応を求めた。
 騒然となる駅前の街宣について、福田紀彦市長が街宣側とカウンター側の双方に節度を求めたことについて、質疑応答でカウンターの男性から「うるさくて迷惑という面はあるかもしれない。ただ差別街宣を止めようという時、抗議の声を上げざるを得ない」とする声も。師岡さんは「差別をなくそうというカウンターの行為は、国民や市民の責務を定めるヘイトスピーチ解消法、市条例にも根拠づけられている」と話した。

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