「ソ連」「ナチス」同一視を禁じる法成立 ロシア、大戦勃発の責任論を封殺

2021年7月4日 19時30分
6月30日、国民とのテレビ対話で質問に答えるロシアのプーチン大統領=タス・共同

6月30日、国民とのテレビ対話で質問に答えるロシアのプーチン大統領=タス・共同

 【モスクワ=小柳悠志】ロシアで、第2次世界大戦におけるソ連とナチス・ドイツの役割を同一視することを禁じる法が成立した。「ソ連は正義、ナチスは悪」という構図を明確化し、国民の愛国心を高める狙い。欧州では、ソ連にも大戦勃発の責任があるとする指摘が出ており、こうした議論を封じる意図もある。
 プーチン大統領が1日、法律に署名して発効した。同法は、ソ連が大戦で行った政策決定をナチスと同一視することを許さず、ソ連が欧州をナチス支配から解放したことを否定することも禁じる。教育やメディアで大戦下の政策に関する議論が封じられ、歴史観が固定される恐れがある。
 法制定の背景にあるのは大戦勃発の議論を巡るロシアと欧州の対立だ。ソ連とナチス・ドイツは1939年、東欧における勢力圏を独ソ不可侵条約の秘密議定書で決定したため、ポーランドやバルト諸国ではソ連を「侵略者」とみなす考えも根強い。
 欧州連合(EU)欧州議会も2019年、秘密議定書などについて「第2次大戦勃発の引き金になった」と決議し、ロシア政府は「欧州をナチスから解放したのはソ連だ」として強く反発していた。
 ロシアでは対独戦勝利は国民統合の象徴となっており、今年は独ソ戦開戦80年の節目のため、戦史観を法制化する必要があったとみられる。政治評論家マカルキン氏は「戦争を知らない若者に『ロシアは正統な大戦の勝利者』のイメージを植え付けることは、政権にとって重要な課題だ」と評している。

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