熱海の土石流、なぜ起きたのか? 「強い雨と火山性のもろい地質か」専門家が分析

2021年7月4日 21時04分
 静岡県熱海市で3日、大規模な土石流が発生し、多数の住民が安否不明になった。土砂災害はなぜ起きたのか。専門家は強い雨と崩れやすい地質などによって土石流が起きたと指摘する。(横井武昭、梅田歳晴)

◆7月の観測史上最多の降水量

 地盤災害に詳しい東京電機大の安田進名誉教授(地盤工学)は「被害状況から土石流が起きたと判断できる」と説明する。土石流は、山腹や川の土砂、石が集中豪雨や長雨などで一気に下流へ押し流される現象。その速さは時速20~40キロともいわれる。
 名古屋大の田代喬特任教授(河川工学)は「まず非常に強い雨が降り続いたことが大きい」と話す。気象庁によると、熱海市網代の観測地点では、3日午後3時20分までの48時間で321ミリの降水量を記録し、7月の観測史上で最多となった。

◆土中が水でいっぱいになると、緩斜面でも起こりうる

 名古屋工業大の松岡はじめ名誉教授(土質力学・地盤工学)は「かなり激しい流れだ。降り続いた雨が斜面全体に浸透し、(土壌の中が)水でいっぱいとなって一気に斜面が流れ出たのだろう。土中の水の圧力が、土石流発生の根本の原因。これが水の恐ろしさだ」と強調する。
 普段は土の粒子が互いに結び付き、斜面を滑り落ちる力よりも、滑りに抵抗する力の方が大きい状態で安定しているという。土の中に浸透した水の圧力によって、粒子同士の結び付きが離れると、粒子の摩擦力がなくなる。「そのような状態になると、斜面の傾斜が15度以下でも計算上、滑り出して土石流が起こり得る」と解説する。

◆「空振りかもしれなくても、命守る行動を」

 さらに現場は、近くの活火山である箱根山の過去の噴火による噴出物や火山灰が堆積していた可能性があるという。田代特任教授は「崩れやすく、もろい地質だと思う。急峻きゅうしゅんな山間地の谷地形になっていて、周辺からの水と土砂が相まって山腹の木々も巻き込み、相当な力で一気に流れたのではないか」とみる。
 ハザードマップによると、周辺は土石流や地滑り、急傾斜地の崩壊などのリスクが高いエリアに指定されていた。田代特任教授は「危険度が高まっているときは、空振りになるかもしれなくても、命と身の安全を守る行動をとってほしい」と呼び掛けた。

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