<社説>東京都議選 五輪強行への批判だ

2021年7月5日 06時32分
 四日投開票の東京都議選で、自民、公明両党は合わせて過半数に届かなかった。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、感染対策が迷走し、観客を入れて五輪・パラリンピックを開催する方針を示してきた菅義偉政権への批判の表れだ。政府は「安全安心」を第一に、これまでの方針を早急に転換し、感染収束へ向けて改めて知恵を絞らねばならない。
 大会を巡って、都民ファーストの会は「最低でも無観客」と訴えてきた。共産党は「中止」、立憲民主党は「中止か延期」を主張した。これに対し、自民は第一党復帰を目指し、公明と合わせて過半数を目標にしていた。
 菅政権は六月、大会会場の観客数の上限を一万人とし、「無観客が望ましい」とした専門家の提言に反する決定をした。都では今月十一日、まん延防止等重点措置の期限を迎えるものの、感染拡大の傾向が明確になり、重点措置の解除は難しい状況だ。
 菅政権の見通しの悪さ、安全安心よりも大会を優先しようとする姿勢が、都民の批判につながったとみられる。今秋までに行われる次期衆院選でも、自公両党は厳しい戦いを避けられない情勢だ。
 コロナ禍の一年半、大会を巡る都議会の対応が鈍かったことは、改めて指摘したい。東京は大会の開催都市である。小池百合子知事は一貫して、国や国際オリンピック委員会(IOC)の開催方針と歩調をそろえてきた。
 都議会がより早い段階で、一体となって異議申し立てができなかったのか。都民ファが党の「生みの親」である小池氏に無観客などを働き掛けることはできなかったか。住民の声を反映すべき議会の存在意義が問われる事態だ。
 地方自治体は二元代表制で、議会は知事ら首長と対等の立場から行政を監視する。だが、知事の立場を忖度(そんたく)したり、与党化に走ったりするようでは、チェック機能に疑問符が付く。
 行政との水面下の調整で物事が決まる政策決定プロセスは、外部からの検証が難しい。都政の一層の透明化が必要だ。
 東京は人口減少局面に入り、高齢化も深刻になる。貧困や格差の是正、首都直下地震への備えと、課題は山積している。約千四百万人の生命と暮らし、年間約十五兆円の財政を左右する責任を、各議員が自覚せねばならない。

関連キーワード

PR情報