「どこにいるの」募る不安 不明の母探し避難所や安置所へ<熱海土石流>

2021年7月5日 11時44分
多くの家屋をのみ込み海まで達した土石流=熱海市伊豆山で(ドローンで撮影)

多くの家屋をのみ込み海まで達した土石流=熱海市伊豆山で(ドローンで撮影)

 3日午前10時半ごろに発生した静岡県熱海市伊豆山の大規模土石流。災害救助で生死を分けるとされる「72時間」が刻一刻と迫る4日、静岡市の自営業男性(40)は、連絡の取れない1人暮らしの母(69)を捜し歩いていた。
 電車で熱海に着くと、避難所を回った。母は見つけられなかったが、情報があれば連絡がもらえるよう市職員にお願いした。母は高齢とはいえ、まだまだ元気だ。「よっぽど急な災害でなければ、逃げられるはずです」。そう冷静に話すが、不安もにじむ。
 土石流が起きた3日の午前10時半だった。「土砂がすごい」。伊豆山の母から、スマートフォンにメッセージが届いていた。昼になって気づき、すぐに返信したが、既読にならない。電話をかけても、出ない。ニュースでは、大量の土砂が押し寄せる異様な映像が流れていた。男性が生まれ育った場所は別だが、家のそばのよく見知った小川の姿とは全く違った。
 今はまだ、母の近所の知り合いとも連絡がつかない。男性は、今回の災害で市内に設けられた遺体安置所も訪ねた。確認した身元不明の遺体は、母ではなかった。職員の求めに応じて念のため、DNA鑑定に使う細胞を口中から採取してもらった。「どこにいるのか、何か少しでも分かれば」。男性は再び、手掛かりを探して街へ向かった。(内田淳二)

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