新たな都議会に託す有権者の思いは コロナ禍直撃の旅行業界や商店街、困窮者支援団体の関係者に聞く

2021年7月5日 12時33分
 東京都議選は5日未明に全127議席が確定した。新議員たちはコロナ禍で厳しい状況にある東京の立て直しが急務となる。売り上げが激減している旅行業界、にぎわいを失った商店街、困窮者の支援団体の関係者に、新議会に託した思いを聞いた。

◆移動の自粛解除はいつになるのか…旅行業協会長

東京都旅行業協会の村山吉三郎会長

 旅行・観光業界からは、感染の再拡大に「また先が見えなくなった」と悲痛な声が漏れる。東京都旅行業協会の村山吉三郎会長(68)は「本来なら夏休み前の忙しい時季なのに…。感染者が減らないことには人は動かない」とため息をつく。
 協会には主に中小の旅行業者が加盟。団体旅行を扱う会社が多く、売り上げはコロナ前に比べ8~9割減という。村山さんが経営する「飛鳥旅行」(杉並区)にも問い合わせは来るが、予約に至らない状況だ。
 小池百合子都知事は4月、「都県境を越えた移動の自粛」を呼び掛けたが、その後は明確な「解除」の発言はない。期待したワクチン接種も供給不足が指摘される。村山さんは「時間や人数の制限はあるが、お酒は飲んでいいとなった。でも、旅行は控えるよう言ったきり。旅行・観光業者への支援と希望を持てるメッセージを」と訴えた。(奥野斐)

◆商店街理事長はコロナ後の街づくりを見据えた支援望む

エスプラナード赤坂商店街振興組合の城所ひとみ理事長

 昼はランチ目当ての会社員、夜は接待客が多かった東京・赤坂。エスプラナード赤坂商店街振興組合の城所ひとみ理事長(74)は「コロナで街が一変した。1階のテナントが撤退したまま入らないなんて、どんな不況でもなかった」と嘆く。
 チェーン店や大規模飲食店が次々と撤退。昼はリモート勤務で、夜は酒の提供自粛で街から人が減った。
 ビルオーナーの城所さんは「家賃を下げてもテナントが出て行き、収入が減り厳しい」と明かす。だが、ビルオーナーや飲食店に食材を納入する業者らへの支援金は乏しい。「格差や不公平感は広がっている」
 都にはコロナ後の街づくりを考えた支援策を望む。「出店しよう、頑張ろうという人に手を差し伸べてほしい。資金力があるというだけで出店する店が増えると、長年つくり上げてきた赤坂らしい街が失われてしまう」と危惧する。(奥野斐)

◆住まいの安定確保が急務とNPO法人事務局長

自立生活サポートセンター・もやいの加藤歩事務局長

 生活困窮者を支援する認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(新宿区)の事務局長・加藤歩さん(47)は「住まいを失わずにすむ政策、居場所がない人が安定した住まいを確保できる政策を打ち出すのが大事」と強調する。
 緊急事態宣言が発令された昨年春、ネットカフェで暮らしていた多くの人々が都の休業要請で居場所を失った。失業して家賃を払えず、アパートを出た人からの相談は今も絶えない。生活保護を利用すれば、アパートに入るための費用を確保できるが、制度への誤解や偏見から、抵抗感がある人は少なくない。
 加藤さんは住まいなどの支援制度や相談体制を充実させ、生活保護を積極的に広報する必要があると指摘。「住まいが安定しなければ、心身ともに健康でいられない。新しい議員は苦しい思いの人に寄り添って」と求めた。(中村真暁)

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