「5年前の何を教訓にしたのか」被害者家族が怒り 千葉・八街では過去にも児童4人が重軽傷の事故

2021年7月6日 06時00分
 千葉県八街市やちまたの市道で6月28日、下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、5人が死傷した事故現場は歩道やガードレールがなく、地元では以前から危険性が指摘されていた。5年前にも同じ小学校の通学路で児童4人が重軽傷を負う事故が発生。当時5年生だった長女(15)が事故に巻き込まれた男性会社員(50)は、対策が進まなかった中で再発した事故に「教訓にしてくれず、悔しい」と無念さを口にした。(山口登史)
 2016年11月2日朝、6月の事故現場から南東に約2・5キロ離れた同市文違ひじかいの国道409号で、前方不注意のトラックが歩道を登校中の小学生の列に後ろから突っ込み、4人が重軽傷を負った。
 長女は事故の衝撃で数メートル先の茂みまで飛ばされた。命に別条はなかったが、頭や背中などを痛めた。ランドセルはピンク色の塗料の一部が剥がれ、下地がむき出しになっていた。仕事先から駆け付けた男性は「一歩間違えばと思うと、血の気が引いた」と振り返る。事故後、長女は「またトラックにひかれるかも」と外を歩くことを怖がり、眠れない日々が続いたという。

男性の長女が使っていたランドセル。事故の衝撃で一部はピンク色の塗料がはがれ、下地がむき出しになっている=千葉県八街市で

 事故現場は片側1車線で、幅1~2メートルの歩道の脇にポールがあったが、ガードレールはなかった。男性らの要望で、市は翌12月にガードレールを設置した。
 その後も男性は、休日に通学路を見回った。「他にも危険箇所が放置されたままで不安だった」と話す。
 6月の事故現場についても「大型車が頻繁に通る。速度を出す車が多い割に、歩道やガードレールがなく、事故がいつ起きてもおかしくない」と感じていた。
 この事故現場に関して、地元PTAは以前、ガードレールや歩道の設置の要望を毎年出していた。市は「幅員が足りず、拡張には多額な費用が必要なため困難」と回答。他の箇所の改修を優先してきたという。
 6月30日、市は通学路の危険箇所を見直すと表明。事故現場にハンプ(速度抑制用の隆起)などを設置する方針を示した。菅義偉首相も通学路の総点検や運送業者の安全管理を徹底する考えを表した。

2016年11月に長女を含む小学生4人が重軽傷を負った事故現場を見つめる男性。当時、カードレールはなかった。=千葉県八街市文違で

 ただ、男性は「5年前の事故以降、何を見直し、教訓にしてきたのか。総理大臣が声を上げないと何もできないのか」と憤る。
 長女は4月、高校に進学した。自転車で通学できる距離だが、安全を考え、路線バスで登下校している。
 「危険箇所の速度制限やスクールバスの運行など、今すぐにでもできる対策はいくらでもあるはず。悲劇はこれ以上見たくない」と訴えた。

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