幼なじみはどこに…繋がらない電話、残された悲鳴 同級生「情報が欲しい」<熱海土石流>

2021年7月6日 12時00分
 「おかけになった番号は現在、電波の届かないところにあるか、電源が入っておりません」
 静岡県熱海市で土石流が発生して以降、伊豆山岸谷きだに地区の小川徹さんの携帯は、音信不通のままだ。同級生で幼稚園からの幼なじみ、小松つとむさん(71)は嘆く。「もう何度もかけているんだけれどね。この音声しか返ってこないよ」

◆流されたという目撃談…「早く出てきて」

 「新年会はコロナで中止」と、2月にメールでやりとりした。小川さんがとりまとめ役を務めるようになったのは、大厄を迎えた42歳の時。伊豆山神社でのおはらいを企画して以来、年に2~3回、同窓会を企画してくれた。
 小松さんの先輩が、小川さんが自宅の玄関先から流されるところを見ていたという。「なんつったらいいの…悔しいですよ。仲間ですからね。早く出てきてもらいたいですよ」

太田洋子さん(右列奥から2人目)は、同級生の高橋薫さん(手前左)らが開いていた食事会によく参加していた=2018年、熱海市で

◆電話中に悲鳴を残して

 小川さんや小松さんと同じく同級生の太田洋子さん(72)も、行方が分かっていない。同級生の高橋薫さん(72)は「期待はしているよ。覚悟もね。ちょっとでも信じたいじゃんか」。
 土石流が起きた瞬間、高橋さんらの知人が太田さんに電話をかけていた。「洋子ちゃん、逃げろ!」。次の瞬間、「きゃー」という声を残して、連絡が取れなくなった。
 太田さんは昨年10月に夫を亡くし、1人暮らしだったという。気が利くしっかり者だった。高橋さんの妹が3年前に亡くなった際、一番に駆けつけてくれて、身辺整理や片付けを手伝ってくれた。
 小松さんと高橋さんは、今は町内会の役員として消防や自衛隊の救助活動を支援する。付近は断水し、自らも被災者となった。高橋さんは「情報が欲しい。一日も早く、戻ってきてくれたら」と話した。 (谷口武)

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