最低賃金引き上げ、コロナ禍の2020年度は1円だけ 今年はどうなる?<Q&A>

2021年7月8日 06時00分
 最低賃金(最賃)の水準を話し合う中央最低賃金審議会小委員会の第3回会合が7日行われました。なぜ、最賃が注目されるのでしょうか。(渥美龍太)
Q 最賃って何ですか。
A 労働者に払われる賃金の下限です。時給で示され、最賃を下回った企業には罰則もあります。労使や有識者の中央審議会が夏に「目安」と呼ばれる引き上げ水準を示し、それを基にした都道府県別の議論を経て10月ごろに各地の最賃が決まります。最も高い東京都が1013円と、秋田や鳥取など最も低い7県より200円以上高く地域間で差があります。
Q なぜ今、最賃が注目されているのですか。
A 小売業などコロナ禍で最前線に立つエッセンシャルワーカーは、最賃に近い低賃金の非正規労働者が多く、生活の安定のため引き上げが必要との意見が強まっているためです。長年の経済低迷は賃金が上がらないのが要因との見方もあって、政府は近年引き上げの方針を掲げ、2019年度までは4年連続で年3%超上がりました。低賃金で長時間働かせる「ブラック企業」に圧力をかける効果もあるといわれます。
Q それなら、もっと上げればいいのではないですか。
A 経営者が反対しています。特にコロナ禍で疲弊している中小企業は「雇用を維持できない」と強く反対し、専門家の間にも「失業が増える」などの慎重論があります。20年度の中央審議会は、今の水準の維持が適当と判断しました。その結果、全国平均額は前年度比で1円上昇の902円にとどまりました。
Q 今年はどうなりそうなのでしょうか。
A 政府は経済運営の指針「骨太の方針」で最賃について「早期に全国平均1000円を目指す」と記し、慎重だった昨年と姿勢が変わりました。欧米がコロナ禍でも一定の引き上げを続け、首相の経済ブレーンが最賃引き上げに伴う中小企業の淘汰・再編を主張していることが影響する可能性もあります。野党の多くも引き上げに賛成で、目安は月内にも示される見通しです。野村総研の木内登英氏は「一定程度は引き上げられそうな流れだ」と予想しています。

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